こういう作品は、細かなことなど考えず、楽しめばいいのだと思います。
そう思って見始めましたが、酷すぎる。黙ってられないほどに。
ドラマの方の「沈黙の艦隊」シーズン1、見ました。
設定上ありえないのも、まあいい。
武器使用上、おかしいのもいいでしょう。
頭が悪いのも大目に見ましょう。
しかしこの作品はない。
原潜に近づき、沈められる空母。空母が潜水艦に近づいていく? まあ大目に見ましょう。
しかし、日本側の損害は、ささやかな損害で大きく映す。
しかし原子力空母が沈められてるんだよ。何人死んだと思ってるんだ?
これは一つの基地を滅ぼしたと同じくらいの衝撃だから、アメリカにとってはただの戦争です。
だから止められるわけがない。
海江田はただのテロリストです。それはアメリカにとってもだし、誰にとってもです。
それと手を組む日本。明らかなテロリストと手を組むお話です。
このおかしな話はどこから来るのか?
それは原作の漫画の方を考えれば、意味が分かる。
原作者のかわぐちかいじさんは1948年、広島生まれです。しかも尾道のあたりだというのがまた、呪いを感じます。
つまり、私が嫌いな「団塊の世代」です。
この作品は1988年から96年までの連載だったようです。
つまり、バブル全盛期に始まる。
ちなみに、1989年に冷戦が終わります。
世代間の感覚ってあります。
だからと言って、全ての人が、その通り(ステレオタイプ)だとは限らないのですが、どうしてもその時代の影響はでます。
その時代を否定すれば、反対にもなるが、時代に乗ってしまえばステレオタイプにもなる。どっちになるかは、結局その人次第です。
この原作者は、団塊の世代に乗ったのでしょう。
独立国「やまと」とほざきます。
この言葉、感覚、あきらかに団塊の世代の、学生運動化がほざきそうな戯言じゃないですか。
テロ行為を正当化して、独立を願い、それが成功しなかった若き学生運動を憂い、それのストレス解消として「学生運動が成功した未来」と描いたのがこの作品です(もちろん、それらの気持ちを象徴しているというだけです。本当の学生運動を支持してたかは別です)。
原作者も明治大学行ってたようだし、必ずこれらの運動を見てはいるのです(参加してたかは知りませんが)。
「やまと」の名もそうです。
これは宇宙戦艦ヤマトと同じく、あの悲惨で馬鹿らしい二次大戦のトラウマ解消なのです。
二次大戦はうまく行かなかった。だからもう一度、今度は成功する「やまと」を見たいという、ただの妄想です。
戦争は否定します。それは学生運動家でもそうでした。広島生まれなら尚更、強くは思ったことでしょう。
しかしテロ行為は正当化する。おろかです。革命を信じた馬鹿な世代のお話です(60年、70年安保の頃は、チェゲバラが流行ってた時代です。この頃は、革命が流行りだった若者の時代なのは理解してまきましょう)。
生まれが尾道なのがまた、影響があるのか? と思ってしまう。映画「東京物語」で出てきましたね。爆撃されず残った町が尾道です。だから怖さを知らない。
そもそも団塊の世代が、「戦争を知らない子供たち」です。だから素晴らしい戦争をと、のたまう。戦争反対といいながら、戦争に負けたのがトラウマであり、今度こそは戦って勝つぞ、と思ってしまう世代です(これはその親世代の教育の間違いでもありますが)。
この革命家でありテロリストの海江田を正当化する世代が、団塊の世代なのです。
だから、なぜかこのテロリストを日本国が応援し始める。「そうあってほしかった」という、団塊の世代の学生時代の妄想です。
革命を夢見た学生運動化は「戦争をなくす」という夢をほざき、しかしテロ行為はして、だけど最後は日本国自体も味方になってくれる、というありもしないただの妄想の物語です。
だから敵がアメリカなのです。これもソ連では無いのが味噌です。明らかに「70年安保闘争」の影響があると思いませんか?
その夢をほざいてもいいと思い始めたのが「バブル期」です。
「今度こそは日本が強くなり、アメリカの属国から外れ、好きかって言えるようになったはずだ」と思っていた、調子に乗っている時期が、バブルの時です。
だからこの頃にこの漫画が始まり、しかも注目を浴びれたのでしょう。
とは言っても、この時代はしょうがない面もある。
漫画とは「ハーレムもの」があるように、このようなご都合主義の妄想物語もありな世界です。
だから否定はしない。
しかし漫画だからいいのです。それを実写にしてはいけない。
実写にしてリアルに見せると、勘違いする子供が出てくるからです(子供とは、リアルな子供だけではなく、子供並みの知識の人達もふくまれます)。
勘違いしないでほしい。このドラマはただのハーレムものなのです。
ただの物語としても、色々おかしい。
敵は兵器で殺しておいて(出てこないけど、何人死んでいると思っているのか? 空母沈んでおいて、まさか誰も死なないなんて思ってないだろ?)、自分の味方一人死にそうで大騒ぎをする。自分勝手な団塊の世代が描きそうな、身勝手な物語です。
兵器の使い方がおかしいの当然として(最後のタンカーみたいなやつ、飛行機で沈めろよ。簡単だろ)、問題は30年何やってたのか? です。
30年も経ったのだから、今の時代でも通るように内容を変えないといけない。
せっかく元は良さそうなのだから、直せばいい作品になったのかもしれないのに、もったいないですね。
(なんでアメリカも日本も、核保有がわからないのか? とか、アメリカが作った原潜がなんでアメリカが勝てないくらい強いのか? これが最新鋭なら、まず自国分を沢山作るって、とか、なんで日本が反乱を起こしたテロリストをかばうのか? 核を持っていても、タンカーみたいのに乗った時点で拘束すればいいだけですね)
この物語は、「人の命が大事」とか「世界平和」だとかほざいているが、味方側の命は大事に描き、敵側の命は軽く描く。
この時点で、何が世界平和なのか?
そもそもなんでアメリカが敵なのか?
もちろんアメリカは怖い国であり、色々おかしな国です。当時はなお更そう思える国だった事でしょう。
しかし物語自体が人の命と平和をうたっている話なのだから、それを無視したら物語としてお終いです。
このお終いの話を、今なら変えるべきでしょう。
今、丁度内容を変えてはいけない問題があります。
しかしこの作品のように、変えなくてはいけない物もある。
もちろん原作者の了承が必要であり、了承が得られないのなら、やらなければいいのです。
内容を変えれないのなら、今の世にやるような内容の作品ではない。
新作をやれよ。
30年経ってまだ、バブル期のおかしな作品の内容を変えれない。
失われた30年、何も出来なかったこの日本の暗喩のようです。
そして今や最高権力者に上り詰めた団塊の世代。
しかし30年何も変えられなかったばかりか、最高権力者になっても何も変えようともしない。
昔の革命の夢を追っていた学生時代、それを美化した30年前の夢を、更に今も美化して、まだそれを通そうとしているように見えて、気持ちが悪い。
現実を見れず、夢をほざいて、しかし沈黙を続けた、失われた30年。
それが今、アメリカ資本であり、日本のネット関連の多くを専有したアマゾンで蘇る。気持ちの悪い冗談のようです。
30年沈黙してたのだから、これからも沈黙して海の下で永遠に眠っていてほしかったです。
ネットで見ると、好印象ですね。怖いですね。
古い作品なので、文句を言う人はもう言い尽くしてるだろうし、今は見向きもしないからでしょう。
ただ、今の若い人は惑わされないようにしてほしいです。
これは、団塊の世代の革命の妄想に、すぎないのだからです。