映画「エコール」見ました。感想です。ネタバレです。
アマゾンプライムで出てきて「これ大丈夫なのか?」と思った作品です。
普通はサムネイル詐欺みたく、サムネはやばそうだけど、中身はそれほどでもないものです。
しかし中身の方がやばいですね。
どうもアメリカだと児童ポルノでひっかかるため流せないそうで、まあ時代的にはそうでしょう。
これを2004年で作れるフランスと、それをアマゾンプライムで今流せる日本。
これは逆説的に言うとアメリカより平和である、とも言えます。
さて内容的にはただのロリコン映画ではないのですが、ロリコン映画です。
どう見ても「そのシーンいるか?」と言うのがあるので、わざとでしょう。
なんであんなにミニスカートなのでしょうね?
あとパンツは脱いじゃいけない気がしますけど。これは後半までずっと守って来たのに、監督が我慢できなかったのでしょうか?(監督女性ですけどね。ならいいか。ならいいのか?)
見てすぐに思い出したのがアニメ「灰羽連盟」です。
そしてやってる事は大体同じです。
ちょっとに過ぎているので、この映画の原作が元ネタになったのか?(元ネタの更に元ネタって言う事もあり得ます。元が古いのでね)
ただそうでなくても似たような設定は思いつきそうなので、たまたまな可能性もありますが。
原作は1903年の「ミネハハ」と言う作品だそうです。
ミネハハとはインディアンの言葉だそうです。ここの大事な所は、作者は敬虔なキリスト教徒ではないだろうと暗示させ得る所です。
そしてこの作家は自然主義文学に興味を持ったが、違うなと思い距離を取ったとあります。大事なのは距離は取ったが、否定はしてないと言う事です。
さてこれらから導き出されるこの映画でやっている事は「輪廻転生」です。映像でも回るとか生まれ変わるとかを示す映像がよく出て来ましたね。
それに水にすぐ入る。これはたまたま最近聞いた1863年の有名な児童文学「水の子どもたち」を連想させます。水で清められ鍛錬させられ、また生まれ変わると言う話だったので、ミネハハもこれと同じような意味でしょう。
わざわざ始まり方から「棺桶に入れられた子供が届く」と言う物でした。つまり死んだ子供がたどり着く所だと言う事です。
しかもわざわざ、ここで更に死んだ子供も出し、その子が棺桶に入れられるのだが、同じ様な棺桶でした。「最初のは棺桶ですよ」と言う分かりやすりヒントですね。
それで生まれ変わるまでの物語、と言う事でしょう。
しかし輪廻転生なんてキリスト教ではない気がするので、だからミネハハなどと言う、他宗教を思い描ける題名かと思ったのです(でもそう考えると「水の子どもたち」は牧師が書いてるので、キリスト教でも比喩的な意味で言えば、生まれ変わる事は良いのかも知れません。比喩的とは生まれ変わった「ように」生きて行く、と言う事です)。
それに自然主義文学者(気味かもしれないけど)だったのが効いてきます。
つまり宗教的には薄くて、精子と卵子の物語、と言う意味で書いている気もするのです。
まあそれだけではなく、間を取って、宗教的な輪廻も含め、科学的と宗教的の両方の間を描いた作品だった、のが一番近いのかもしれません。
こう言う風に見ると、この変な作りも納得すると思いますし、あの変な終わり方も納得すると思います。
始めから最後まで、どこかの水の中の映像です。あれは子宮の中かもしれません。
映画の原題が「イノセント」ですから、無垢な物から、鍛えられ学んで大人になると言う事が、生殖、妊娠、出産に繋がっていると言う物語です。
ちょっと動物的な考えですが、まあこれも一つの自然的な行動ですね。だから自然主義文学から来ているのでしょう。
とまあ、結構考えられて作られてましたが、それにかこつけてロリコン映画を作りたかっただけの気もします。
ちょっと話がずれますがアニメピンドラのバンクシーン、山田玲司さんが「あれは射精から妊娠、出産を表している」と言っていて、確かにそうですね。
あれも「生まれ変わる」と言う事で「輪廻転生」もかかっているのでしょう。
しかし生まれ変わる暗喩に、物理的な生殖行動を思い描ける映像を入れて来る。この辺のドギツイ直球って寺山さんもそうでしたが、昔からあったのでしょう。
生殖行動も自然な行動なので、そこを無視するのもおかしい訳です。
だけどやはり限度がある。客が引いたらお終いです。
だから分かりずらくするけど、でも入れて来る。この辺の塩梅はイクニさんは上手いですね。
そしてもっと直球が庵野さんですね。シンエヴァでは無駄に思える尻カットが多く、文句を言われてましたからね。
私も昔はこび売ってるようで嫌いでしたが、あんなのに惹かれる男も、一つの自然な行動だと思うと、あながち間違ってない映像だと思えてきました。不思議ですね。
そう思うと、ロリコン趣味な人に向けたロリコン映画も自然な……ではないな。やはりおかしな作品だと思っておいた方が良さそうです。
ただおかしな物すらも受け入れる世間は、良い事だと思います。そこに犯罪性が結びつかなければね。
ちょっと追加
始めに送られた子がイリスでしたね。
ギリシャ神話で虹の神だそうです。wikiによると何かと冥界に出向く人です。だからこの名だったのでしょう。
もう一人の主役はビアンカです。wikiによるとこれも「白」を表すのだそうです。
これは着てる物もずっと白でしたからね。無垢な物の象徴です。
無垢な者が旅立つ物語です。
そして大人になると言う事は綺麗事だけではなく、生理とか生殖とかを無視できないと言う所と、でも最後は前向きなビアンカの映像に、女性監督の良さが出てました。
22年8月5日 しつこく追加
ちょっと気になってたんで言っときます。
ではこの少女たちは卵子か?
もしかしたら精子の方かもな? とは思ってました。
衣装などが白いのと、足を大事にしろと言う話でした。
足の様なもので泳いで競争をし、卵子にたどり着くのが精子です。だから精子の方かもしれない。
精子に似せる為、あの長い足を強調する為にミニスカだった気もしてきました。
少女の格好をさせ、しかし精子の物語を作ったとするのならば、この女性監督の、悪く言えばロリコンに対する嫌味、良く言えば男女両方をいっぺんに表す面白い発想だと思います。
うーん。こう見たら思ったより深い映画な気もしてきました。
少女を見るロリコンを、裏で刺しても来る物語だったのかもしれませんね。