初代「ガンダム」の最後のモビルスーツ「ジオング」について書きます。
ちょっとした考察です。
その前に、もしかしたらネット動画ニコニコチャンネルの「山田玲司のヤングサンデー」で言ってたかもな? と思い見てみました。
私が見た無料分では言ってなかったですが、有料分だと言ってたかもしれません。
今まで、今更ガンダムの事なんか聞きたくないと思い、この動画は見てなかったですが、とても面白かったです。
この辺の話では、本当に山田さんは面白いですね。
ジオングはなんで足がないのか? とか、他もなぜあんな魅力のない見た目なのか? とは昔から思ってました。
なぜか今更それが頭に浮かんだので考えてみました。
それが足がない。つまり地上だと行動が出来ないモビルスーツです。(もっと後の時代になればペーネロペー見たく地上でも飛べる機体が出てくるでしょうけどね)
でもだからこそ、スペースノイド(宇宙移民者)達の国、ジオン公国の象徴でもあるのでしょう。
それに乗るのがシャアですね。ジオンダイクンの息子が乗るのだから、これもジオン公国そのものと言う所です。
では暗喩ではどうなのか?
足がなく、飛びます。そして手も伸びる。しかも首だけ切り離し飛びます。
だから幽霊です。亡霊です。妖怪です。
だからあの顔なのですね。ゲルググとかギャンなどと比べると、とても魅力がない顔してますね。亡霊なのです。
この頃はもう、ジオン公国など、怨念で戦う亡霊でしか無いと言う事です。
しかも他のモビールスーツに比べると、大きいですね。
妖怪じみてきてもはや人ではない、と言う事ですし、肥大した怨念だと言う事です。
それが最後は首だけになります。でも戦う。
これも怨念や執念しか無いが、それでも戦うのがジオン軍ですし、その王子シャアの事でもあります。
体が無いとは、つまりもう国として機能して無いような物、それがジオン公国ですね。
ジオンダイクンを殺し、その王子シャアに仕返しをされてほぼ滅ぶザビ家が頭首をしているのがジオン公国です。だから国として最低限の機能もしてない。
面白いのは、ではガンダムはどうなのか? と言う所です。ここに富野さんのすごさがでてますね。
ジオングと対するとなると、ガンダムが地球連邦軍だと言う事です。
それがジオングと戦った最後には、頭がないのです。
つまり考えや信念などが無いのが連邦軍だと言う事です。
しかし体はあります。まだ国としてはちゃんとしているのが、連邦軍の方です。
ガンダムを子供の頃見てた時、不自然だったのが、最後なぜアムロはガンダムを降りたのか? という事でした。
自動操縦にしてガンダムを動かし、それが最後ジオングの頭を撃ち抜きます。
普通はアムロは乗ったまま撃ち、相撃ちなるのが物語の定石です。
アムロを生かしたかったとしても、シャアの方は乗っていたが生きてるのだから、アムロも乗っていても良かった筈ですね。
しかし富野さんは、そうはしない。
このシーンを暗喩で表すと「頭だけの怨念のジオン軍と、信念もない連邦軍は、どっちも傷つき相打ちであり、結局勝ったやつなどいなかった」と言う事ですね。
そして「その無意味な戦いには、最後は乗らなかったのがアムロ」と言う事です。
だからわざわざアムロを降ろしてから決着を付けたのですね。やりますね。
戦争を止めたのがアムロです。
止めたやつが生き残るのです。
初めの設定だとたぶん、シャアはここでは死んだ筈です。
最後まで怨念を持ったやつも、その怨念をもたらした奴らも、どっちも死ぬのです。止めなかった奴らは死ぬのです。
だから綺麗に終わっていたのが初代「ガンダム」ですね。よく出来てました。
しかし呪いとは恐ろしいものですね。
亡霊みたく「実は生きていた」と言う事で、シャアがZガンダムで復活します。
戦争を止めた筈のアムロも、また戦い始める。
まさにサンライズの呪いですね。
死んだ筈の亡霊、ジオングになるのが富野さん自身だとは、ガンダムの頃だとまだ思ってはいなかった事でしょう。
そしてジオングだけではなく、ガンダム自身が肥大化して黒くなっていきます。これがサイコガンダムですが、それはまだ先のお話です。
そりゃ地球にアクシズ落として、全てを終わらせたくはなりますね。
しかし落とさない。そこが富野さんですね。
私だったら月を地球にぶつけて、両方真っ二つにしますけどね。
落とさなかった富野さんは、だから病んでいきます。
戦う事を止めなかった奴らは死ぬのです。
それを言っていたのが富野さんなのに、富野さん自身が止められなかった。
だから病んでいくのです。
それから、まあ色々あり、本当に色々あり、富野さんは戦う事を止めます。
少なくとも、怨念を込めて呪いながら戦う事は止めるのです。
それで出来たのが「Gのレコンギスタ」です。
なぜ「Gレコ」がこうなったのか? その歴史を知ろうとしないで文句を言ってる製作側の人たちには、文句を言う権利はない。
例えば9.11のテロを、歴史を考えないで「テロを犯した奴らが悪い奴らだからだ」と言った所で、ただの感想でしか無い。そこからは何も生まれないのです。
首だけになっても、首がなくても、どっちであっても上手くは行かない。
それを既に初代ガンダムで伝えてるのだから(今後、幾度とやる事になる)富野さんの狙ってた訳ではない未来予測は、本当に面白いわけです。
22年2月4日 少し追加
私はキュベレイとかの形が嫌いだったのですが、あれが人を模した暗喩の塊と見れば、まあいいものだと思えてきました。
何が嫌いかと言うと足です。あれでは歩けない。
でもハマンカーンが乗ると思えば、歩く事など無い代物で雰囲気があっている事になります。
ちなみに、実在する歩く事を意識してない靴として、婦人靴のピンヒールがそうです。
だから今後のガンダムでハマンカーンの様な偉くて高飛車のキャラが乗るモビールスーツは、ピンヒール型が良いと思います。
ただ、ピンヒールになって行くと言うのは、既にキュベレイを作った永野さんがファイブスターでやっている事なので、物マネと言われてしまいそうです。
物マネと言われても、暗喩としてピンヒールのモビルスーツを出すべきだと思っています。
同じく「歩けないだろ」と思えたのにナイチンゲールがあります。
逆種のシャアの小説版の「ベルトーチカチルドレン」でシャアが乗る機体です。
あれも暗喩だと思えば良く出来てますね。
もはやいびつで人から離れて行っているし、しかしどこか格好を付けている機体がナイチンゲールです。
そして赤い色ですね。これは映画の逆シャアで乗ってたササビーもそうでしたが。
つまり「赤い彗星のシャア」も含まれてる、と言う事です。
ジオングは逆にシャアではなくキャスバルダイクンを背負っていて、ジオン公国の化身として幽霊になり最後戦う、と言う事です。
逆シャアの方は、仮面を脱ぎシャアであった人生までを含めて、全てを隠さず誤魔化さず戦うと言うあらわれが赤い機体です。だからこそ最後なのですからね。
いびつなナイチンゲールに比べ、人型を保っていて羽すら生えて悟ってるかのような機体がハイニューガンダムですね。
アムロには子供も出来、大人になり、悟った側を表すのが、ガンダムです。
それに対するいびつなナイチンゲールがシャアであり富野さんであるのだから、面白いですね。
もう富野さんはやらないだろうから、安彦さんがオリジンとしてベルトーチカチルドレンをやってくれないだろうか?