号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

安彦ドアンの島

アニメ映画「ククルスドアンの島」見ました。

感想、ネタバレです。

 

ガンダムの中の一話の話を映画化したものですね。

監督が安彦さんです。

 

サンライズでは仮面を付け、自分を欺き、会社のためと言いながら、実は私怨で戦う富野アズナブルがまだ戦っていた頃。

安彦ドアンは戦う事に疑問を持ち、他の自分なりのやり方があるのじゃないのか? と思いアニメから出ていった。

しかしまた戦う時が訪れ、捨てたはずの旧式安彦専用ザクに乗り込み、今最後の戦いに向かう。

と言う話です(うそです)。

 

このアニメ、まあ色々と思う所がある物語ですね。

それは俯瞰的に見た時にです。

が、まずは表から見ていきます。

 

見る前には「なんで今さらこんな古い物語の、しかも途中をやらなくてはいけないのだ」と思いました。

まあ今でも思っているのですけど、見てみると思ったより感動しますね。

カイシデンの声とかガンダムが立ち上がる所とか「おお」と声が出るくらい感動します。不思議です。

私はそもそもガンダムがあまり好きではないし、映画以外はしっかり見てません。

そんな人でも感動できるのだから、好きな人はたまらないのかな? と思います。

なので、明らかに年寄りが昔は良かったと、ノスタルジックに浸る物ですね。

そんな物語も否定はしません。見てないけど今流行っているトップガンもそうらしいですね。

しかしそれだけではいけないですね。後世に残すものを何かしら出すべきです。

ではこの映画ククルスドアンはあったのか? と言うと疑問です。

 

最近アニメ「ゴーグ」の一話だけ見ました。子供の頃好きでした。

今見ると一話がなんとつまらないことか。びっくりします。

まあそこから面白くなっていくのでしょうけど、一話で面白くないなんて死んでますね。

なので安彦さんは演出が下手なのは分かってました。

そしてそれからかなーり経って、今はどうなのかと思いみました。

何も変わってない。びっくりします。

つまり面白くする演出が下手な人なのでしょう。これは致命的です。

ネタは悪くない。状況も含めた設定とか、面白くなりそうなのに、面白くならない。特に前半。これは単純に下手なのでしょう。

比べてはいけないけど、これが宮崎駿さんなら、と思えてきますよね? 子供いっぱい出てくるし。

安彦さんは「ゴーグ」をやり「未来少年コナン」に全然かなわなかったと言ったようですけど、そこから変化がないのでしょう。

だからアニメ監督辞めて正解です。

(ちなみに、富野さんだったとしても、もう少し面白くしたと思います。あちらはごちゃごちゃさせた違う面白さでしょうけど)

 

フォローじゃないけど、ゴーグもそうだし、今回のドアンもそうだけど、設定は悪くない。

だから設定とか大きな枠組みで参加して、監督は別の人に任せるべきだと思います。

(またちなみに、富野さんも監督は別に任せて、原作に特化した方あいい気がします。年齢も含め、後世にやらせるべきじゃないのかな? もちろん富野さんにも係わってほしいのです。原作の後世のレベルはまだ低いからです。次の世代に残していってほしいですね)

 

さてそして暗喩的と言うか、俯瞰的に見てみます。

これはさっき言ったように、安彦さんがアニメに係わり、そして逃げていって得意分野漫画で戦い初めた事でしょう。

そしてまた漫画でガンダムを初め、そしてまた監督としてガンダムに係る。

これがドアンの行動と似ていて、だから何か心に引っかかる所があり、最後の作品として選んだ気がします。

 

そしてもう一つ。安彦さんは学生運動化ですね。反戦運動であり左翼運動をやっていたようです。

そうするとこの映画の内容が分かりやすいですね。

戦うことを辞め、そこから島に逃げ、そこで自給自足で生きていく。まさに当時の学生運動家の夢じゃないですか。

だからこれをやりたかったのでしょう。

もちろん当時、学生運動も上手くいかなかったようです。しかしその思いはあり「気持ちは間違ってなかった」と思っているのでしょう。

だから最後にやっておきたくなったのです。人生の総決算です。

 

しかしね。これがまた面白く表していると思えるのが、どうも胡散臭い理想郷な所です。

あんな木もない島で、子供たちだけとどう生きていくのか? 上手く行くわけがない気がしてしょうがない。

この辺のディテールをなんとかしてくれるのか? と思い見てたら、そこはいい加減でした。

つまり今でもまだ、細かな所は詰めてない、つまり考えてないで理想郷を夢見る学生運動化なのでしょう。

この辺もまた、昔から変わってないのです。

 

ドアンは古いザクです。敵はもっと新しいザクでした。

手書き時代の英雄が安彦さんです。新しいデジタル世代には勝てないと思っているのか?

そして結局はニュータイプアムロが倒す。つまり生まれついた天才が勝つのです。富野さんとか宮崎さんです。

そして最後はガンダムの戦いをまた辞める。だから終わりに安彦専用ザクを海に沈めたのでしょう。

 

暗喩的にも内容的にも、古き良き時代を出しているけど、問題点もそのままです。

これは単純に、年寄りは楽しんだ方がいいでしょう。

しかしこれはあくまで、古さを楽しむコンテンツ、として割り切ったほうがいい。

この作品での問題点もまた、新たな人は感じ取ってほしいのです。

 

ちょっと最後に。

やはりガンダムってよく出来ていたんだな、と思えました。プラモで流行った当時は嫌いでしたけど(アニメ当時は流行ってないですね。だから打ち切りでしたね)。

15少年漂流記っぽさもよく出てましたね(流石にガンダムはもういいからバイファムやってくれないかな?)。

この映画をみたら、この続きも今のレベルで作り直して欲しくなりますね。

しかし、という事は、他の作品が未だにガンダムを超えて無いという事です。

「まだガンダムなのか?」といつも思うのに、結局はそれを超えれる作品が出てこない方に問題があるのでしょう。