映画『トイ・ストーリー4』を見ての、考察と妄想を書こうと思います。
ネタバレです。トルストイたぶん関係ありません。
「人の妄想なんて聞いてられない」と思った方、聞かなくて結構です。
ちなみに私なら聞きません。
毎度おなじみニコニコ動画の「ヤングサンデー」と言う動画で、山田さんと言う方が言ってた事が、今回の考える下地になっている事を書いときます(これは言わないと不公平な気がしたので)。
この物語は、今の生きている場所、もしくは歩いている道に幸せが無いのなら、もしくは生きていけないのなら、その道から外れてもいいじゃないか。と言う事を描いていると思います。これはアニメ「ユリ熊嵐」と同じですね。
それは子育てが終わった人に、もしくは定年退職した人に、そこだけが人生ではないと言っているのでしょう。
ピクサーは丁寧ですね。それに上手いですね。ウッディが自分の道を選んだ事が気に入らない人がいるようですが、その事にも丁寧に理由をつけてますね。
つまり自分が行きたい道を選んだと言うよりは、もとの場所に生きる意味がなかった、必要な人ではなくなっていたとちゃんと描いていますね。
必要のない所で死んだように生きるよりは、他の所で自分の道を探す方がまだいいと言っているのでしょう。
だからウッディは他の人を誘ったりはしません。自由に生きていこうと他のおもちゃを誘わないのです。
それにギャビーが他の子供のおもちゃとして生きていけるように手助けをする。つまりおもちゃとしての使命の否定はしてません。
そこから考えられるのは、今は自分が必要としている子供がいないからおもちゃとしては生きてないけど、もしまた自分を必要とする子供が現れたのならウッディはまたおもちゃとしての使命を全うするだろう、と思う終わり方なのです。
他には、バズの態度が何かおかしいと思っている人が多いようです。私もそう思いました。
しかし山田さんの話を聞いて何かふに落ちました。
バズももう少年でも青年でもなく老人なのでしょう。それだけの人生を送ってきた。おもちゃなので見た目が変わらないが、中身は老人なのです。
そういう風に見ると、バズの動きも納得します。
最後の別れがとてもさっぱりしている、と思ったでしょうが、バズが老人だと見ればあんなものです。分かっているので騒がないのです。
バズが心の声に従うと言って、おもちゃのボイスに従います。あれもバズはあそこまで馬鹿ではないはずだと思った事でしょう。しかしバズもあれはおもちゃの声だとは分かっていたと思います。しかし分かっていて従っているのでしょう。
自分はおもちゃで、おもちゃとして生きていこうと思ったのです。つまり生まれた意味、作られた理由を全うしようとした。作られた時から仕込まれていたボイス、それこそが生まれた時から背負わされた使命その物です。おもちゃとしての使命に沿って生きていこうと選んだバズが、おもちゃの声に従って生きていく事を選んだのです。それを指針にして生きていこうとしたのです。
この辺も丁寧なのは、声が「任務は終わりだ、もう帰れ」と言われた時に、驚き何度もボタンを押して確認する。実は何も考えず従っているのではなく、考えはあるのです。ただ右か左の指針にしてるだけです。ただこの時は何度押しても「帰れ」だったので、「分かった分かった」と怒りながら帰ります。自分はおもちゃとしての使命に沿って生きていこうと思ったのを思い出して、しかなく帰る事を選んだのです。
そしてこれの反対がウッディですね。
ウッディは自分の意志で声を失くします。可哀そうだと思ったギャビーに声を譲ってしまうのです。
これはバズと反対で、生まれた時の使命、おもちゃとしての使命を自分の意志で渡してしまう、と言う意味です。
生まれた時の与えられた使命をすて、自分の意志で決めようと選んだのです。
しかしこれも別に叛逆では無いですね。自分にはもうその使命を全うできない。自分がこの声を持っていても何もできない。ならギャビーに渡してギャビーがおもちゃとして指名を全うできる道を選んだのだから、別に間違ってはいない。
自分だけでは無くおもちゃ全体をみたら、おもちゃの使命を全うできる可能性を増やしたのだから、おもちゃの意味の否定でもないのです。良く出来てます。
あと気になるのはフォーキーが最後ナイフィーに「何で私達生きてるの?」と言われ「分からない」と答える所ですね。
人だって自分が何で生きているかは分からない。子供は特にそうでしょう。気が付いた時には生きていたのです。だからフォーキーと同じです。気が付いたら生きていた、世界がそのようになっていたので生きていた、と言う事で理由なんてないのです。
だから子供は特にフォーキーと同じじゃないかと思ってくれるのじゃないでしょうか?
大人は思わないでしょうけど、でもどっちが幻でしょうね。生きているのが当たり前なのと、何で生きているのか分からない事のね。
トイストーリーは山田さんの話を聞いたら「色々考えて作られているんだなあ」と分かりました。
そしてこの作りで「トイストーリー4」を作ってしまったのだから、「トイストーリー5」がどうしても見えてきますね。前で終わらせないで、この作りにしたのなら続けなくてはいけない気がします。
では5が作られたらどうなるか? ここからは予想を通り越し、妄想です。
ここまで来たらあとは気になるのはもうあれしかないですね。それは「死」です。
トイストーリーのおもちゃを見ていると映画「永遠に美しく」を思いだしてしまいます。呪われた怖い話にも見えてくる。
じゃあやはり死を与えてあげないといけませんね。
妄想の「トイストーリー5」は、そうですね、アンディの父のお葬式から始まります。
あれから十数年、十代半ばのボニーも参列します。そして幼いアンディの子供も参列する。
ボニーは「こんな時に何だけど、でもこんな時だからこそ明るくいきたい」とアンディの子供に段ボールを渡す。中にはおもちゃが入っています。バズ達がアンディ家に帰ってくる。
バズ達はアンディの父の事を考える。死とは何なのか?
この時皆動いているのに動かないおもちゃがいます。それが何なのかを言わずただ動かない。
数日後、壊れたおもちゃがあらわれ庭に埋められます。バズ達が助けに行き掘り返す。しかしそれはもう動きません。そこでこのおもちゃは死んだのだと分かる。そして埋め直します。
その後バズ達はアンディの父の遺品を見つける。その中にも動かない人形が見付かる。
そこでバズ達は結論を出します。おもちゃの死とは「捨てられた時」もしくは「自分の事を人が皆忘れてしまった時」だと気が付く。そしてこの時もう一つ「誰か人に動いているのを見られた時」に死ぬのだと分かる。そこで動かないおもちゃが前に誰かに動いているのを見られたのだと言う話が語られ、視聴者に分かる。
なぜ「動いているのを見られると死ぬのか?」それは分からない。アンディの父や全ての人がおもちゃと違い、年を取って死ぬのは神がそう決めているのだからであり、おもちゃが動いてるのを見られて死ぬのも、そう言う事だろうバズ達は思う。
アンディはおもちゃ会社に働いてます。そこで会社がどこかの工場で公害を出していた。しかしアンディは知っているがそれは隠されています。 これがばれたら会社がつぶれるから黙っていろと上司に言われている。
アンディの妹が会社に訪れる。マスコミ関係で働き始めている。兄に「会社の不正がマスコミに疑われている。話してほしい」と言うが、アンディは言えないと黙ります。
アンディの家ではアンディの妻が産気ずいたと病院に運ばれる(いずれ次男か長女になる)。
一人残ったアンディの息子が家に来た男達に連れ去られる。
バズ達がさらわれたと思い、助けに行く。
実はアンディの上司が、アンディの子供を一人だと危ないからと呼びに行かせたのだと分かる。
しかしそれも裏では子供を会社に閉じ込めておけば、アンディもマスコミに会社の不正を暴露したりしないだろうとやった事だと分かる。
助けに来たバズ達に黒ずくめの男が邪魔をします。この男はバズ達を罠にかけ人前に出し、人に見つけさせ動かなくさせる(殺す)事をし始めます。見つけた人は「あれ? 動いていた様な? 気のせいか」となります。
この男は人の大きさの人型のお茶くみロボットだと後で分かる。飼い主である上司を助ける為にバズ達の邪魔しているおもちゃなのです。
追い込まれるバズ達。そこでとうとうウッディ達が助けに登場です。ここの会社の事がニュースになってきているのを見て来たと言うのです。
アンディの妹が会社に潜り込みます。何か証拠がないかと。そして会社の人に捕まり軟禁される。
ボーがそれを知り、妹を助ける為にウッディ達と二手に分かれる。
妹を助け出し、その後黒ずくめの男を見つける。そしてボーは話しかける。黒ずくめの男は振り返る。そこでボーは気が付く、罠にかかったのだと、黒ずくめの男だと思ってた人は眼鏡と帽子を取ると他の普通の人だと分かる。「でもまあ、あなたならしょうがないわね。最後に話せて良かった」と言う。眼鏡を取るとそれは妹だと分かり、ボーはただの人形に戻る。
ウッディとバズは会社の不正を知ってしまう。バズ達は不正を暴露しようと言う。しかしウッディは止める。「お前たちは世の中を知らないからそういうんだ。俺がどれだけ家もなくした人達を見て来たか」と。それでアンディが仕事を失くした後を心配したのです。
ウッディはアンディの子供を見つける。「必ずパパが助けてくれる。パパはヒーローだから」と言っているのを聞いてしまう。
ウッディはアンディとの昔を思い出す。アンディの父との事も思い出す。
アンディは上司に釘をさされる。「この事は黙っとけ、さもないとお前は首ばかりか会社がなくなる。社員皆路頭に迷う」アンディは悩むが納得する。
一人になるアンディ。そこで後ろから声がして振り返る。ウッディが立っている。そして話しかける。「それでいいのか」と。
「パパ、パパ」と子供におこされるアンディ。椅子で寝ていて夢を見ていたのだと思う。子供の手を見ると握られたウッディ「それは?」「そこで見つけた」と言う子供。
「ちょっとそれを貸してくれ」とアンディはウッディを握りしめ「パパはこれから戦ってくる」と伝え、部屋を出ていく。外で妹たちと会い、会社の不正を暴露する。
後日、家の部屋で一人遊ぶアンディの子供。そこにアンディが入ってくる。手にはウッディが握られていて、それも含めて子供と遊びだすアンディ。
携帯が鳴る。アンディは少し離れて話し始める。どうも次の仕事の事の様で、上手くいきそうで長電話になる。
アンディの子供は何もない筈の上を少しあおぎ、その後一人で遊びだす。両手にウッディとバズをもって。
バズを持ち子供が言う「ありがとう、ウッディ。これで息子は救われた。さああっちでボー達が待ってる。行こう」
ウッディを持ち上げ子供が言う「やれる事はやった。あとはアンディやバズ達が上手くやってくれるだろう」
アンディは電話を切り子供に言う「ごめん。これから仕事の事でいかなくちゃいけない」そしてウッディに手をかけ言う「あとはまかせたよ。ウッディ」そして部屋を出て行く。
一人になったアンディの子供はまた一人でごっこ遊びをしだす。
ウッディを持ち上げ「待ってくれ。アンディにまかせると言われた」
バズを持ち上げ「おいおい。君はもう責任は果たした。もういいんだ」
ウッディを持ち上げ「責任とかじゃなくて、自分でそうしたいんだ」
バズを持ち「誰ににたのやら」
ウッディを持ち「ボー達にはもう少し待っててくれと言っておいてほしい、だから……」
そこで下から母の呼ぶ声がする。それに返事をしておもちゃは置いて部屋を出て行く子供。
バズ達が動き出す。「ウッディお帰り」。しかしウッディは座ったままで動き出さない。バズは言う「ウッディありがとう。君は皆の心のなかで生き続ける。アンディ達の心にも生き続ける」
ウッディの背中からのカット。頭と右肩位が見える。それを抱きしめるバズは顔が見える。画面は白黒になり、暗い音楽が流れ始めエンドロールが下から上がり始める。
エンドロールが画面の上に付きそうな時に、何かが落ちてきて画面上端とエンドロールの上の間に挟まり、これ以上エンドロールが上に行かなくなる。
落ちてきたのは死んだはずのおもちゃ。多分ポテトヘッド。その後次々死んだはずのおもちゃが降ってきてエンドロールを押し下げていく。
半分くらい落ちた所で上からボーが下りてくる。やれやれ、と言う表情を見せてそこから飛び降りる、と同時にステッキの端をエンドロールの上に引っ掛け、一気にエンドロールを下まで戻す。
画面に色が戻る。ゆっくりバズの背中の向こうからウッディの手が上がってくる。
そして楽しい音楽のエンドロールに……。
って言うのはどうでしょうかね?