号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

サイコパスと誤魔化し癖

映画「ククルスドアンの島」感想二回目です。

 

なんとなくは分かっているけど、言語化出来てない何かがある気がしてました。

それがまとまってきたので書きます。

 

まず第一に面白い話でもないです。文句が多いです。

第二に、何度も言ってる事をまた言います。

何度も言ってる事につながるのは、この要素が物事の本質を探る上で、結構大事だと分かってきた事だからです。

つまり、大事だから最近気にしてきた事に、ここでもまたつながってしまうと言う話です。

 

私は、安彦さんが書いているガンダムオリジンの漫画は読んでません。

アニメ化されたのを見ました。あれはアムロが出てくるあたりで終わります。だから安彦さんが描いたアムロがしっかり描かれているのを見たのは、ドアンの映画が始めてだったのです。

 

オリジンでシャアは「サイコパスのやばいやつ」と言う描かれ方でしたね。

物語としての良い悪いは別として、シャアと言う人を見事に表していました。

シャアはサイコパスです。つまり人の感情が分からない人です。

これは共感力が無いという事ですが、気持ちを想像出来ないと言う事です。

そもそも相手の気持ちなんか本当は誰にも分からない事なので、あくまで想像なのです。

そして分からない気持ちを想像するという事とは、未来の自分の気持にもなれないと言う事です。だから恐怖心がない。想像力が無いからです。これもまだ存在しない未来の自分の気持のなろうとする想像力の話だから、同じなのです。

サイコパスは恐怖心がないから行動する。行動したものだけが成功者になれるのだから、サイコパスの人が成功する確率は増えるのです(何度も言ってるけど、やって失敗する人も多いですけどね)。

それにモテます。モテる三代要素がサイコパスでナルシストでマキャベリリストだそうです。だからモテやすい(これはこういう人の遺伝子を自分の子供が持てば、その子供はあっちこっちに子供を作るだろう、と言われている事もあります。つまり女の人はサイコパスとの子供を持てば、自分の遺伝子を多く残しやすいから、と言われています)。

だから主人公になりやすいですね。もののけ姫のアシタカや、君の名はの瀧くんです。

 

世間で言われている事では、シャアとは富野さんの分身だろう、という事です。そうだと思います。

ではアムロは? アムロも富野さんだと思っています。アムロもシャアも二人の富野さんです。

富野さんは自分の2つの要素を2つに分けた、白富野と赤富野にです。それがアムロとシャアですね(この時はまだ白と赤です。つまりまだ紅白でめでたい。ガンダムの後になって、やばい富野さんの黒要素が出てきます。Zガンダムでは黒富野要素が色々出てました)。

だから二人は似たもの同士であり、どちらもサイコパスなのです(このあたりが私がガンダムが嫌いな所です。サイコパスな二人が周りを振り回す物語だからです)。

 

今回のドアンの映画でのアムロは、見事までにアムロサイコパスとして描いてましたね。

シャアも含めアムロもここまではっきり描くのだから、安彦さんはシャアとアムロというのはどういうやつか? と言うのをはっきり分かってたのだな、と思えます。

まず、感情があまりない。しかも顔に出ない。一個の事に妙に集中出来る(ガンダムを探しに行った時、そんなところまで言ったのか? と言われてました)。それに恐怖心がない。だから高い所から降りることも出来るし、狭い穴にも潜って行くことが出来る。効率的に考え行動できる(ガンダムで人を踏み潰してましたね。あれ蹴っ飛ばすでも良いでしょ?)

などの事から、分かっていてはっきりアムロサイコパスだと描いていたのが安彦さんでした。ここは見事です。

(ただもう一度言うけど、このはっきりしたサイコパスが主人公ってどうなんだ? 何が面白いのだろう?)

 

サイコパスというのは良し悪しがあります。成功者になれるけど普通の人がやらない所でつまずいた人生を送ったりしがちです。

最近はYoutubeなどでサイコパスをよく見れる機会が増えたので、よく分かりますよね? あの人達の中で「なんでそれをやるかな?」という人いますよね?

他の人だと出来ない事が出来、普通出来る事が出来ない人がサイコパスです。なぜならの脳の能力が偏っているからです。

 

上手くも行くけど問題もあるサイコパスであるアムロとシャア。この二人も見事にサイコパス人生まっしぐらじゃないですか。この描き方は見事です。

たぶんだけど富野さんを見て分かってたのかな? と思えます。もしくは安彦さん自体もそうなのか? 他にも知っている人で参考になる人がいたのかも知れませんけど、実際の人を参考に描いているのは事実でしょう。

 

さっきも言ったけど最近はYoutubeで多くサイコパスが見れるので、世の中には多くのサイコパスが成功者として世の中の少数の地位を占めているのだな、と言うのが分かってきました。思ったより権力者に多いのが分かったと言う事です。

サイコパスは良い悪い両方あるので、知っとかないと痛い目に合う事でしょう。自分とは違う感覚の権力者が、意外と多くいるというのを知っとくべきです。そう言えばプーチンもそうですね。

 

さてもう一つの気になってた事を言います。

私が気になってたことは、毎度のことながら、学生運動家の誤魔化し要素です。

この要素があると気がつかないと、いつまで経っても失敗続きの国から脱出できないと、私は思っています。

 

この映画、テレビアニメとは変えてきてます。それは正しいと思います。

ドアンがなぜこんな住みにくい島にいる理由があるのか? しかもなぜ戦う必要があるのか? そして最後ザクを海に沈めて本当にいいのか? などの問題が元の話にはあります。

それに整合性を持たせるために「この島には核ミサイルがあって、それをドアンはなんとか壊そうと模索している最中」と言う事にしてます。

しかもちゃんと、ジオン軍は信用できないけど(核ミサイルで都市を攻撃しようとしてるし)連邦軍も信用など出来ない連中だ、と描いています。

だからドアンはどっちとも戦い、自分でミサイルをなんとかしようとしている、という話になっていて、あってますね。

最後にはミサイルがもうないのだから、ザクも必要がない、逆にあると兵器があると連邦軍にも思われてしまうけど、無ければただの人で過ごせるだろう、とも思えなくもない話にしてます。

 

ドアンがみなし子と、あんな木もない島で生きている意味がある事は分かりました。

しかしそうは言っても、あんな島で生きていけるのか? とも思える。

もしかしたら、何ヶ月か一度に海を渡り何か買いに行ってるかもしれない。

なので私ならそれを言葉として入れます。例えば、誕生日のケーキが欲しいと言った子に「材料は本島に行かないと買えないな。しかし今はこの島から動けないんだ」とドアンに一言言わせればいい。ほんの数秒でしょ?

ではなぜその数秒を入れないのか? ここに安彦さんの、そして学生運動家の誤魔化し癖がにじみ出ているのです。

 

あの映像を見ると「子供たちはあの島で、自給自足で生きていけてます」と見えるでしょ? つまりそう見せたいのです。

だから実は「たまに本島に買い出しに行っている」などと見てほしくないのです。

これがまやかしです。誤魔化しです。嘘です。癖なのでしょう。

実は無理だと分かっているのに、それを誤魔化し夢だけを見せる癖です。

たぶんそれを突っ込むと言うのでしょう「いやそれは知っていて、不足があったらたまに船で買いに行っている」などとね。

そう、知っている。「皆も知っているし、つまらなくなるから言わないで良いでしょ? 」というのが彼らの言い分です。

それが学生運動家です。馬鹿じゃない人は、当時の運動中でもどこかで分かっていた。考えに問題が多く、やってる事に無理があると。

しかしそれを言わなかったのでしょう。そして聞くというのです「分かっているさ。しかしそれを声に出すと皆が不安がるから、わざと言わない」などと。

言わないとどうなるか? 始めはただの「気を奮い立たせるための軽い嘘だ」と思っていても、それをずっと言っていると「本当かも?」と自分自身で勘違いを始める動物が人です。

(昔のサッカー日本代表もワールドカップで4位になるぞといい出し、しまいに本当のことのように考えてたようだったじゃないですか。あれの事です。本人たちにとっても始めはただの軽い嘘、手の届かない目標だったのに、いつの間にか、出来る筈だと自分で信じるようになっていったのです)

頭がいい、よく分かっている人達だって、嘘を叫んでいるとしまいに自分にも嘘が効いてくるのです。

しかも頭が悪い人は、その言葉をそのまま信じるのです。

そしてそれを何十年もやっていると、次の世代は信じ始める。親には嘘だっのに、子供はそれが本当と信じ大人になり、信じる大人が出来上がる。

これが第二次大戦時の日本です。

始めは分かっていた。アメリカと比べ全然かなわない国だと。

しかし国民を誤魔化し嘘を言って頑張ってきました。始めは必要な嘘だった筈です。しかし年月が達、しまいに皆が「本当に日本は強い国でアメリカとも戦える」と思ってしまったのです。それであの戦争が起きたと、私は思っています。

それから戦争が終わり、時間が経ち、戦争を知らない子供たちが二十歳くらいになってきます。その彼らが学生運動を始めるのです。

彼ら団塊の世代は、彼らの大人たち、つまり戦争の頃生きていた人達をけなします。しかし彼らは分かってなかった。何が先代達はおかしかったのか? をです。考えがなかったのです。

学生運動家は、大人達をけなしておきながら、実は似てたのです。同じです。彼らもまた「勝てば官軍」気分でしたし「嘘も方便」であり「神風が吹いて、なぜか勝てるぞ」と言う人達で、自分の親と同じ感覚に育ったことも分からない人達でした。ただの大人を悪く言うよく、分かってない子供達だったのです。

もちろん、その子供たち(団塊の世代の人達)にちゃんと説明が出来てないその親たちが悪かったのでけど、その親たちに似ている事さえ気が付かない、愚かな大人に育ちましたね。

「その人達が本当の世の中の権力者になったとしても、何も出来ないから見てろよ」と私は20代の頃思ってました。今が彼らが最高権力者のお年ごろです。そして案の定です。残念です。

だから私は団塊の世代が、世代として嫌いです(個人個人は違いますけど)。かれらは結局彼らの前の世代が何で失敗したのか? を考えず、考えれずきて、だから何も直せず、やはりまた壊れていきそうな国をこしらえてしまいましたね。彼らの親の世代と同じです。何も変わらない。

 

同じ間違いをしないために、今後はどうするべきか?

誤魔化さないことです。それが「分かっている嘘」でも言わない事です。

始めは分かっていた筈の嘘でも、ずっと言っていると本当になってくるのが世の中だと、知っておきましょう。

 

さて「ドアンの島」では「まるで子供たちだけで自給自足で生きていける」様に見えるように作っています。

これが「分かっている嘘」です。「分かっているけど言わないんだよ」という嘘です。

「その行動こそが、あなた達学生運動家の本当の問題点ですよ」と安彦さんに言いたくなった、という話でした。