号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

飛んでイスタンブール、うらまないのがルール。

映画 「飛んで埼玉」 見て思った事です。

ネタバレです。イスタンブール何も関係ありません。

 

何度もヤングサンデーと言う動画がニコニコ動画であると言っていますが、その中の一人が出身が関東でないので、そんなに差別意識があるとは思えないと言っていました。

私は東京の、しかも埼玉寄りにずっと住んでいたので分かりますが、あるのです。

あるからこそこの映画が売れたのでしょう。なければだれも見ないような映画です。

 

東京出身の人は小さい頃から地図を見る時、もちろん東京の地図を見ます。

東京の23区などはカラフルに色分けがされています。しかし埼玉は白く塗られていて、しかも大雑把な地名しか書いていない。

これが東京人の子供の頃から知らず知らずに植え付けられた埼玉です。白い大地に大雑把な地名、これが心の埼玉です。

これを聞いてもピンとこない人は日本の地図を思い描いてください。北海道の上にカラフトありますよね? あれです。日本地図のカラフトが東京人の埼玉です。

 

私は東京の北に位置している所にいたので、いつも南を向いています。気持ちが南を向いて生きているので、後ろが埼玉なのです。なので見えない。

隣の区の名前は分かる。しかし後ろの埼玉の市は大人になっても知りませんでした。後ろはただ埼玉なのです。

 

しかも私のいた区と埼玉の境界線は荒川が流れています。つまり川を越えたら埼玉なのです。そう、あの六文払えば渡れると言う川を越えた所にあるのが……すみません、調子に乗りすぎました。冗談です。うらまないのがルールですよ。

 

でもヤングサンデーに出てた人が言ってたように、埼玉の南の方の都市なら別に東京と何も変わらない。

私の様に東京の底辺あたりで生きてきた人よりは、埼玉の都市の中流以上の人の方が上手く生きていますし、幸せでしょう。

東京は会社の本社も多いですし、金持ちも多い都市です。しかし人口が多いですからね。貧乏人だって多い。そして多くの人はただの中流家庭です。

ここが面白いわけです。肌の色の変わらず、宗教も変わらず、人種も変わらない。ただ少し東京の中心より離れているだけです。なのにこの映画が流行るくらい皆が差別意識を持っている訳なのです。

もちろんただの冗談になる位のものですが、それでも多くの関東の人が心に抱いている訳です。

何も変わらないのに皆が(薄くですが)差別意識を抱いている。これを思うと白人黒人問題やイスラエルのあたりの宗教が違う問題なんかは「そりゃそう簡単には解決しないよな」と思ってしまいますね。

東京だ埼玉だと冗談ではなく言っている人は、それにすがっているのですね。そんな何も無いものにアイデンティティーを抱かなくてはいけないほどに、余裕が無いのです。

そしてだからこそ解決は難しい。アイデンティティーや心のよりどころの問題なので、そう簡単には解決しない。差が無いとは認めるわけにはいかないのです。

その中の埼玉東京問題は些細なことですが、人種や宗教だと差が無いとは認めるわけにはいかない人が多いでしょうね。今流行りの韓国の問題もここに一端がありますね。日本の一等地の児童相談所設立反対運動もこの事が関係があるでしょう。それらの人々はすがっているのです。

日本でもこんな身近にあるのだから、普通に良くありがちな事で他人事ではないですね。

 

あと思った事は、この映画はやはり終わり方は今一でしたね。

ヤングサンデーの人が言っていたのは「アメリカから来たような画一化された物を埼玉化と言って広めてる、と言うのはおかしいのではないのか」と。その通りだと思います。

この人もブラックジョークかと思ったと言ってましたが、私もそう思いました。しかしどうも本気で言っているような演出なので、気持ち悪かったですね。

でもブラックジョークだと思い見ていたら、話は合ってますね。

始めは差別があり、それを変えようと奔放する。初めは正義だったはずです。

しかし革命が上手くいき、トップを引きずり落とせた後に何をしたのか? 今度は我らが正しいのだと自分の正解を日本に広めようとする。世界に広めようとするのです。

しかもやっている事は広めるべきではない画一化されたつまらないものであり、しかも元々埼玉でもない所(アメリカ)から来たようなものです。

そしてもう隠れる必要もないのに地下で決起集会をしているのです。

やっている事は「革命が成功したおかしくなった人達」ですね。

だから最後この決起集会にGACKTがいたのが良くなかったですね。魔夜さんならそうしなかったと思うのですがどうでしょうか? 

魔夜さんならこうしなかったか。

地下で決起集会をする二階堂ふみ。盛り上がっています。それを少し後ろの隠れた所から見ているGACKT。何も言わずくるっと振り返ります。マントをなびかせて後姿を残し一人去っていくGACKT

こうしなかったでしょうか? これだけでも「おさまったのにな」と思ってしまいましたね。

 

ヤングサンデーの山田さんがなんでエンディングGACKTに歌わせなかったのか? と言ってましたね。本当にそうですね。

この映画は山田さんの話を聞いたら、確かに映画好きでも納得させられるポテンシャルは持っていたのにな、と思えてきましたね。

埼玉で生きてたのが長い山田さんはこの映画のまずい所は目をつぶり、良い所を良くやったと言っていました。

関東出身でないヤングサンデー奥野君はただ素直にまずい所を指摘してました。

では私はどう思ったのか? 「ま、こんなもんですかね?」と言った所です。なぜなら東京出身ですからね。