号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

なぜ皆無視するのか? あれって白人だろ?

映画「NOPE」見ました。感想、考察です。

 

いや、単純に面白いじゃないか。そこが一番良かった。

ただ、言って見れば良くある話。よくある設定。

ただ、トレマーズみたく、B級そうなのに、実は良く出来て後世に残る作品だった気がします。

言ってみれば、良く出来たテレビドラマみたいな感じです(あくまで感じですが)。

 

さて、youtubeなどで、手っ取り早く考察を見てみました。

黒人とか有色人の映像の歴史。その中の、見世物にされてきた歴史。だと言います。そうなのでしょう。

 

そもそも主人公OJじゃないですか。私には「OJシンプソン」から取ったとしか見えない。

googleで検索するとOJで始めにシンプソンが出て来るので、世間的にはやはりそうなのでしょう。

「OJシンプソン事件」も見世物にされた者、です。

たぶん監督が言いたい苦言は「しかも黒人だから、大きな見世物になったのじゃないのか?」って言う事かな?

 

敵の宇宙生命体はなんなのか? 何の暗喩か?

なんでみんな言わないのだろうか? 白人だろう。

始めの形態は、ティンガロンハットだよ。なぜ言わない?

だから主人公はティンガロンハットをかぶらない。家にはありましたけどね。

被っていたのが、父親と東洋人です。だから、どっちも死んでいる。

 

父を死に至らしめたのが「5セント硬貨」です。5セント硬貨はトマスジェファーソン。彼は奴隷制度撤廃を望んでいたが、死ぬまで奴隷を持っていた人だそうです。つまり、結局事実上出来なかった人である。

最後まで奴隷を持っていた事は、結局世の中に勝てなかったとも言えるし、お金の問題にも勝てなかったようです。

 

主人公の父は、お金に殺された事で「お金に勝てなかった」とも言え、ジェファーソンからは「お金と世間に抗えなかった」ので死んだ、とも言えると言う事です。

 

東洋人は、宇宙生命体を見世物にしようとした。ティンガロンハットをかぶっていた。などから、結局白人に染まった東洋人。

だから(よくない)白人化した東洋人であり、だから亡くなった、と言う話です。

 

白いティンガロンハットが、白人のカウボーイの象徴です。

父と東洋人、両方にわざわざ白いのをかぶせるのだから、わざとです。

(ちなみに父が乗っていた馬も白です。白人に染まった人、って事です)

 

そして、だからこそ、宇宙生命体も白く、同じく穴が開いた様な格好なので、これも同じく白いティンガロンハットの事です。だから敵なのです。

最後は開いてきますが、最後の形などは、よく見ると人の形にも見える。だから白人そのままでしょう。

 

そもそもこの映画、良く分からない者、しかも超常的な力を持った者、が土地にあらわれ、皆をさらっていきます。

これって、アフリカで奴隷として連れて行く事の、暗喩じゃないかと思っています。

奴隷としてさらわれる人の「リアル体験物」でもあったと思うのです。

 

その黒人奴隷とその頃の白人カウボーイをかぶせている。

カウボーイをかぶせる所に、ただの奴隷問題ではなく「映像」の事を言いたいのだと思います。

ネットで町山さんが言ってましたが「西部劇には白人ばかりだ、実際は黒人も多くいたのに」だと言う事です。

なので最後主人公は生き残る。馬に乗って。

「あれこそが、本当のカウボーイだ」と言いたかったのです。

黒人であり、ティンガロンハットもかぶらない、家族を守るために命をかける本当のカウボーイ。

もちろん白人のカウボーイも多くいただろうけど「それは映像作品で言うと偏っている」と言う意味の苦言とみれば、あっていると思います。

 

そして黒人と東洋人は、面白おかしく笑われる立場に置かれる事を表したのが、チンパンジーです。

チンパンジーが怒り、反抗する。

最後の宇宙生命体に対する行動の事でしょう。

見下し笑っている人に「気を付けろよ」と言う事だと思います。

(ちなみに暗喩抜きで言うと、子供の頃にチンパンジーグータッチをしようとしたのは、少年の方です。チンパンジーはあくまで近づいて手を出そうとしてただけで、そこで撃たれたから良く分からないだけですね。それで「自分は動物を飼いならせる」と勘違いし、宇宙生命体にもやろうとしたが、実際は違っていた、と言う事です)

 

ただね。私にはあのチンパンジーは日本人だと思えてしょうがない。

アメリカに戦争をした日本。そして最後は負けた日本の事でしょう(もしくは、バブル時の日本の事か?)。

だから日本作品のオマージュも多いのでしょう。

 

作品の中の東洋人は、中国人かな? 昔から、ある一定数アメリカにもいただろうから。

それとグータッチをしそうになるチンパンジー。だが結局出来なかった、と言う話です。

手を結ぶ事が出来ず、日本人は死に、白人に染まった中国人も死ぬ。

だけど父が死んだように、白人に染まった黒人も死ぬので、そこは平等に描いています。

 

「見ないと襲われない」とは、そのままで「白人の権力者の行動も、見て無いふりをすれば、生き残れる」と言う事です。

最後妹を守る為、白い宇宙生命体に目を向ける主人公。

「家族を守るために、目を背けず挑む」と言うシーンなので、盛り上がります。

その時妹を見る。昔話で妹が「兄は私を見てくれてた」と言います。

これは「見る」と言う行為の、良し悪しの事です。

「見世物として人をテレビで見るのではなく、家族の事をちゃんと見よう」と言う事です。

兄は妹をちゃんと見ていた。そして今、家族を守る為、大きな脅威でも目を背けず、宇宙生命体に目を向ける。と言うシーンであり、とても良く出来た盛り上がるシーンです。

このシーンだけで、見て良かったと思える内容でした。

 

最後主人公が生き残ったのも、宇宙生命体と対峙する時、ちゃんとヒモを付けてましたね。

馬が後ろに下がるシーンです。掴んでいたのかもしれないけど、分かりずらいようにだが、ちゃんと映してました。

だから、ちゃんと生き残った理由も置いてあるのが良いですね。

 

黒人問題からの、黒人の映像の歴史問題なのだが、それはおまけでいい。

おまけはおまけとして楽しめ、それ以外の所もちゃんと見れる作品に仕上げて来たので、とても良かったです。

 

もちろん「とても良く出来た」と言うより「良く出来た作品」止まりなのは、正直に言っておくけど、この及第点をちゃんと取りに行く事に、好感が持てるのです。

なぜなら傑作は狙っても出来ないが、努力で出来るのが及第点だからです。

「どの映画も、この位は努力しよう」と思わせる、映画でした。

 

 

24年3月6日 もはや恒例の、追加

 

なぜ靴が立っていたのか? 私には分かりませんでした。

ただ、ネットで皆言うので、知ってはいました。

 

「たまたま奇跡的に靴が立っていて、それに気が行き、子供が見ていた。だから子供はチンパンジーを見る事がなく、それで襲われないですんだ」のだそうです。

これが最悪の奇跡なのだそうです。

 

それにテーブルクロスも目隠しになってましたね。あれも子供が助かった理由の一つです。

 

そしてそのテーブルクロスをどかして中を見ようとしたのが、チンパンジーです。

その手を見て、自分には見方だと勘違いして、グータッチをしようとしたのが、東洋人です。

 

あの東洋人は、役柄として中国人だと思うのです。昔からアメリカには中華街などがあり、リーさんとか結構いましたからね(二次大戦中の戦車の名でもありましたね)。

だとしたら、やはりチンパンジーは日本人だと思うのです。

二次大戦中暴れ出した日本。それから助かった中国は「たまたまだった」と言いたいのかと思うのです。

なのに戦後、自分は特殊な選ばれた人だと思い、アメリカを真似た行動をとり、その為今やアメリカにつぶされようとしている事を表したのかな? と思っています。

 

皆言ってませんが、妹が馬の偽物を盗んできましたね。

それにくっ付いていたのが、あのヒモです。

それが引っかかったので、ヒモが苦手になった。

 

ただ忘れてはいけないのが、その時「馬の偽物も一緒に飲み込んでいた」と言う事実です。

つまり、馬も嫌な物に含まれていたのです。

 

だから今まで東洋人に与えられていた馬を食べていたのに、最後は食べなかった。

そして、だから他の食べ物、そこに居た人々を食べたのです。

つまり、妹のせいです。

 

これが「最悪の奇跡」です。

たまたま生き残った東洋人の為に、居合わせたみんなは食われた。

ただ、その前に馬の偽物を食べたからなのだが、それも奇跡です。

そして、その馬の偽物を持っていたのが、そもそもこの東洋人なので、もっていなければ良かった。つまり中国人が西部劇など憧れなければ良かったのです。

 

西部劇に憧れる中国人なのだが、白いティンガロンハットをかぶっている事から、アメリカに憧れた中国人、と言う事であり、二次大戦でたまたま生き残った中国が、今やアメリカを真似、軍事大国になって来た、と言う事。

更に、その大国になった中国と、敵対しているのが今のアメリカなのです。

それが、色々重なって出来た、リアルな最悪の奇跡だったのです。

 

物語に戻ります。

そして、主人公が生き残った。

彼は「ヒモの付いた馬に乗った状態」だったのです。

だからちゃんと、生き残った理由があったのですね。

 

他の事、

なぜ始めに出てく文が「ナホム書」なのか?

 

「汚物をかけ、見世物にする」などと書かれた所です。

この「見世物にする」は皆言ってるので、書きません。

私が言うのは「汚物をかけ」の所です。

 

半ばで、家の上に血とガラクタを出すのが宇宙生命体です。

そこから、この空から落ちて来るガラクタは、宇宙生命体の汚物だと言う事です。

始めに父が死ぬ。空からのガラクタに当たって。

だから汚物をかけられたのが父です。

 

このナホム書は「神の言う事を聞いた人々が救われる。その後またおかしくなった同じ国の人々は、今度は神の言う事を聞かなかった。だから天罰が落ちた」と言う内容です。

つまり神の教えで悔い改めない人は、死ぬ。

悔い改めた人は救われる、と言う事です。

 

まず「父には天罰が落ちた」と言う事です。

 

その後、主人公は悔い改めたのです、だから救われた。

主人公は始め映像を撮ろうとした。しかもお金の為です。

しかし最後はお金の為ではなく、転んだマスコミを救おうとしたし、妹の為に宇宙生命体に向かった。だから生き残ったのです。

 

逆に悔い改めない(映画の中の)監督は、映像を撮る事に溺れ、だから亡くなった。

 

エンジェルも、もうそんなに映像自体に固着もしてないのでしょう。

最後の前に彼が「金とか名声でなく、人の命を救う事になる」と言ってたのは、この前ふりですね。だから生き残った。

(始めただの白人かと思ったが、この役者は、プエルトリコとフィリピン系だそうです)

 

では妹は?

最後にとれた写真は、まあ、神のご褒美でしょう。

妹も、最後は写真を撮ってはいるが、撮った写真を見もしないです。良く見て下さい。

そして立ち上がり、見るのは、兄です。

最後の最後に見る物を間違えなければ、生き残る。そんな話でした。