号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

そして誰もいなくなった後に、残った物

映画「アステロイド・シティ」考察です。

最後の映像で、みながいなくなり、残った物とは何か?

 

何か、毎回言っていますが、今回も曖昧な考察です。

ちょっとフワッと暗喩が入っているから、分かりづらい。

これから言う事は、こじつけっぽいですが、信じるかは自分で決めて下さい。

 

今回も、見る前のポスターのような絵から「もしかしたら?」と思ってみました。

暗喩ファンにとっては、まあ、見る前から怪しい映画ですよね?

そうしたら、始めの列車の映像で「これはきたか」と思ったのだが、見ていくと「どうかな?」と思えてきたという次第です。

 

なぜアステロイドなのか? なぜこんな辺境の砂漠なのか? 宇宙人の行動が意味不明なのはなぜか? なぜスカーレットヨハンソンは女優ではなくコメディアンなのか? なぜ原爆なのか? なぜ呼ばれた子供が5人なのか? 小さな3人姉妹は? 父の方はなぜ出てきたのか? 主人公はなぜヒゲ面なのか? なぜ入れ子構造で、外に現実があるのか? 亡くなった母はなんなのか?

そう、つまりここはどこで? この町はなにで? なぜ集まっているのか?

 

ちょっと話しがずれるけど、この監督、もしかして寺山見てるかな?

白黒が現実なのと、集まった集合写真みたいな絵、それに社会の暗喩。

ただ、寺山作品の他にも、前にあっただろうから、そっちの方の影響かも知れないけど。

 

まず、始まりの絵です。

真ん中が地平線になり、上が青い空に、下が砂漠です。もうここで早くもきまりです。

そう、ウクライナの国旗の色です。

この映画、ウクライナ戦争の暗喩なのです。

 

原爆の絵が出てくる。ヨハンソンがコメディアン。主人公は戦場カメラマン。これらはヒントです。

ちゃんとした暗喩ではなく、それらから想像してくれという、ヒントの部類ですね。

戦場カメラマンは、ただの戦場を思い描いて欲しい。原爆も、核爆弾が肝になっている戦争がウクライナ戦争です。それにゼレンスキーが元コメディアン。それに主人公が髭面なのもゼレンスキーからでしょう。

(この、なんとなくの暗喩をやったのも寺山です。ただあっちは社会情勢を表すから、なんとなくの暗喩で通った。こっちははっきりした元があるので、なんとなくの暗喩はどうかな? と思うけどね)

 

ステロイド小惑星の事だが、アステロイド曲線の事でもあります。どっちも語源は星から来てますね。

星とは?

NATOの旗が星です。そしてEUの旗も星です。

EUの方はそれに加え、星で丸く描いた旗ですね。だから丸く描いたクレーターを上から描くのかな?

わざわざこのクレーターの中で話しが進むのも、EU内の話だといいたいのかもしれません。

NATOでもEUでも、それらがウクライナに集まっている。という事を表しているのです(ただこれは、物理的ではなく、意識がウクライナに行き、注目の中心がウクライナ、ということだとは思うけど)。

 

砂漠なのは、さっき言ったようにウクライナの国旗を表すために、下半分が黄色めの砂漠地帯にしたかったのでしょう。

それにここは辺境です。

ウクライナの語源は「辺境」です。

だから辺境に集まるのです。

 

集まった子供が5人です。

ウクライナの周りの国は、ロシアとベラルーシを抜かせば5国です。

主人公の子供の、母の父も集まります。あれがベラルーシでしょう。だから主人公が好きでは無いが、憎んでもいない。

では小さな三姉妹は? バルト三国ですね。

そう考えれば、主人公も含めた家族は「元ソ連」でしょう。

なら主人公の天才の子供はモルドバかな?

それとくっつく女の子がルーマニアか?

そして宇宙人はプーチンです。

 

だから宇宙人のやってることが分からない。

プーチンのやってる意味が分からないのに、かけている。

急に石を盗みます。それで事件になり、EUの連中があたふたする話です。

彼らを閉じ込めるのがアメリカ大統領だし、彼はこの映画には出てこない。つまりウクライナにはいない。

まさにアメリカ大統領の暗喩なのだが、大統領の暗喩が大統領自身なのが面白いですね。

 

主人公が手を火傷するのは、ウクライナが傷ついた暗喩です。片側が傷ついている。

これも暗喩でなければ意味不明ですし、そもそも全て暗喩だと思わなければ、意味不明です。

 

最後、ぞんざいに石を返すのが宇宙人です。

この映画の時はまだですが(そして今でもまだですが)、プーチンはいつかは盗んだ土地を返すと監督は思っていたのでしょう。

石を返せば、まるで何事もなかったかのように、蜘蛛の子を散らすかのようにみんな急にいなくなる。

だから主人公が朝起きたらヨハンソンも、そしてみんなも、何事も無かったかのように、もういないのです。

「EUもプーチンが土地を返せば、何事も無かったかのようにウクライナからいなくなるだけ」という皮肉です。

 

ヨハンソンは何か? それは分からない。

ただ五人の子供全てに親がいるから、その国の元の国のことかな? スロバキアならチェコスロバキアで、ハンガリーならオーストリアハンガリー帝国とか?

(もしくはその国の国民か、宰相か?)

 

なら、モルドバらの母、マーゴット・ロビーは?

これがソ連でしょう。だからもういない。

(これもソ連時代の実在の人のことかも知れないけど)

 

主人公が母役の人と白黒状態であいますね。

ここでボツになった話をする。夢の中で宇宙に行くという話です。

この話では、父「宇宙人にあったのか?」、母「まだ」、父「君は宇宙人に文句でも言うかと思っていた」というようなセリフです。

これも宇宙人がプーチンやロシアなら、ソ連は彼らに会えたら(無理だけど)文句を言うだろう、と思えば意味が通りますよね。

 

白黒の表の世界がある話でした。

そして始めから「アステロイドシティなぞ存在しません」というのも、皮肉です。EU(もしくはNATO)などという国は存在しないという事です。

EUなどは、表の顔もあるが、裏に本当の顔を持ち、裏で実際は決めています。

その事を「舞台であり、裏に本当があり、見えない裏で決めている」事で表していたのです。

 

最後、主人公も含め、みんなが車でいなくなる。

あのシーンも、画面上が空で下が砂漠で、ウクライナを表してます。

そして残った物とは?

それは「道」です。

プーチンの語源かは、はっきりはしないのですが、プーチで道を表しているのだそうです。

EUもゼレンスキーもいなくなった後に残るのは「プーチンの痕跡のみ」という事です。かなりの皮肉ですね。

 

 

24年2月6日 やはり追加

 

やはり、言い忘れがありました。

「眠らなければ、目覚める事は無い」と言う様な言葉が印象的でしたね。

あれは「雨降って地固まる」です。

つまり「雨が降らなければ、土地も固まらない」と言う事と言ってる事は同じです。

「ヨーロッパ諸国もウクライナも、ぼうっと生きてたのに、戦争で目覚めた」と言う事ですね。

 

作りかけの高速道路は、中国の「一帯一路」の事かな?

 

ちょっと思った事。

こういう映画の感想でよくあるのが「考えるな、感じろ!」と言う物です。

数年前までは、私もそうだと思ってたので偉そうなことも言えないのですが、今なら分かります。

「もっと考えろ!」が正解ですね。

これはウクライナやロシアの事、戦争や核の事も含め「もっと前から考えておけ」だったのは、やはり皮肉なのでしょうか? 教訓なのでしょうか? これも考えてみましょう、って事ですね。