号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

サイコパスが作っているのだろう

アニメ映画「サイコパス Sinners of the System」見ました。三部作です。

感想、ネタバレです。文句だらけです。あしからず。

 

いわゆる「サイコパス」の映画版で、2019年の作品です。

なのでテレビ版の2の後、3の前に公開された作品です。

 

比べると分かる事があります。

今回分かったのが、虚淵玄の能力です。

そして、虚淵さんがいないと、炭酸の抜けた砂糖水になるのが分かりました。

 

刺激が虚淵要素だと思い作ったのが2でした。

刺激的ならいいだろうと、唐辛子でも入れ、普通の人だと飲めない作品にしたのが2でした。

 

だから「それじゃ飲めないだろ」と怒った権力者がいたのでしょう。

そして炭酸を抜いて甘くすれば喜ぶのだといい、作ったのがこの映画版とサイコパス3です。

そして、もちろん、失敗です。

 

虚淵さんは、結構普通の事をする人なので「一発芸的な要素は面白いけど、後は普通だな」と思ってました。

しかし比べると分かります。

とても考えられていて(感性なのかもしれないけど)、やるべき事、やってはいけ無い事が分かっていて、きちんとまとめ上げる人なのだな、と思えてきました。

その「作品の良さが、何かが分かっている人」だと言う事です。

 

みな分かっていると思っているのだろうけど、結構「その作品の良さ」が分かっている人の方が少ないのです。

だから2とか3にすると、間違える人が多いですね。

しかし虚淵さんは分かっていましたね。少なくとも「サイコパス」と「まどマギ」は分かってました。

なのでサイコパスまどマギには「この人が必要だったのだな」と最近は強く思えてきました。侮ってはいけないですね。

 

今回見た映画の一作目「罪と罰」の感想です。

第一印象が、雑だな、ですね。

霜月の感じが、2の終わりから変わっています。

たぶん視聴者に嫌われていたので、マイルドに方向展開したのでしょうけど、馬鹿な間違いです。

2の時の嫌な霜月も、はっきり言うとやりすぎでよくは無かったです。

でも方向性は良かった。それは間違っていない。普通の人の目線の役だからです。常守のカウンターですね。

しかしこの映画版で変えてきました。いや変えても良い。ただ急に変えるな、と言う事です。

この作品の中で、少しずつ変わって行くのを描けば良いのに、急にいい子になっています。

これでは2が無かった事になるので、客を馬鹿にしたご都合主義でしかない。

「やってはいけない事すら分かってない人が作っているので、やばいな」と言う印象しか持てないですね。

結果、やはり中身も雑でした。

秘密を見て捕まった霜月が殺されず、のこのこ皆の前に出すシーンなんて、あれで客が納得すると思っていたら客を馬鹿にし過ぎです。子供騙しで雑な作りでしたね。

整合性を取る事により、客に物語に乗せる事が出来ると言う、物語の基本が出来てない人が作っているのがバレバレです。基本からダメです。

 

二作目「ファーストガーデアン」感想です。

これも雑だった気がします。

これは3でもそうだけど、ロボットってどうでしょうか? しかも光学迷彩か何かで、人にしか見えないと言うのも。

あれがありなら、人いらないじゃ無ですか?

しかもロボットなのに、人に素手の戦いで負けるし、どうなの?

もちろん、理由を付ける事は出来るけど、なら物語上でさらっとで良いので言うべきです。人が素手で倒せない位のロボットは作れないように、厳重に守られている、とか。

しかしそうなると、それが厳重に守られる世界なら、雑な犯罪すら起きないようにいくらでも出来そうだと思えます。小型のロボットすら普通にいるし。

だから、どう見ても雑で、その場限りなご都合主義な設定で出来ている様に見える。

問題は「ご都合主義に、見える」と言う部分です。所詮「ウソ」なので、上手く嘘をつき、客を乗せるのが仕事でしょう。上手くない嘘をつき、客を遠ざけている時点で、仕事が出来てない、と言う事です。

 

三作目「恩警の彼方に」感想です。

ここまで行くともうお判りだろうけど、雑です。

もはや、ルパン三世ですかね? もしくはシティハンターです。

 

全体を通して思った事。

恐怖も無く、追い込まれて行く感もない。

システムに縛られ、監視され、壊れていく感じがしない。

閉所感、空虚感、無力感、何もない。

サイコパスってアニメ見た人がシナリオ書いてます? って言いたくなります。

 

霜月がシビュラのロボットを殴りました。客が見たいのはそう言う事です。

しかし客が見たいのを見せればうける、と思っている事自体、子供です。

見たくない物(限度があるけど)からの解放があるから、うけるのです。

霜月が殴るのは、もう終わりなら良いけど、まだ続けるのでしょ?

 

これは、この後の作品でおなじ2019年の三期でも同じです。

急にまろやかな作品にさま変わりです。

これは何が面白要素だったのかが分かって無いからです。

そもそも、サイコパスに一期が受けたのだから、一期の要素を無くすなんて、何を考えているのでしょう?

二期はグロ過ぎたので、そこを調整は良いけど、辛さは無くしても、炭酸を抜けとは誰も言ってはいない。味付けの失敗です。

 

ちなみに、この映画三部作、基本は、まあ良くありがちだけど、そこまで悪くも無かったです。

だから虚淵入れろよ、と思います。

シナリオについての総監督、と言う職種があっても良いのかもしれませんね。

 

さて、今現在23年4月です。

サイコパスの新劇場版が、またやるようです。

虚淵さん係わってない。心配しかないね。

冲方さんが係わっていて、2は悪くはなかったけど(個人的に)、3にも冲方さんは係わっているからな。

だから冲方さんがどうこうと言うより、全体の流れを決める「誰か」のせいだとは思う。誰かは分からないけど。

ただ監督せいかもしれないとは思っています。監督だし、影響力がつよいでしょうから。もしくはプロディーサーなどの影響かもしれないけど。

最初の総監督に本広さんと言う方が入っていたので、この人がまとめる力があったのか? まあ分かりませんけど。

とにかく、心配です。

このままだと、サイコパスルパン三世になりそうです(ルパンはルパンで可哀そうだけどね)。