号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

ガンダムとは巨人である。

ガンダムとはどうあるべきか?」を考えたので、個人的な答えを書きます。

 

youtube等のネット動画で、山田玲司さんが「ガンダムとは何か?」を語っていました。

この内容よりも、この質問が面白く聞こえたので、考えた次第です。

 

と、その前に、

最近は、youtubeで面白いと言っているアニメを見ようと思っています。

いくつか出てくると言う事は、面白いのだろうという事だからです。

今期で一番出てくるアニメは「お兄ちゃんはおしまい!」でした。

なので見ました。三話までです。

 

どうやらTSものと呼ばれている、ジャンルがあるのだそうです。

性別が入れ替わる、と言う話ですね。

しかし、ジャンルがあるのか? 変態とは奥が深いですね。

 

「お兄ちゃんはおしまい!」は、ニートの男(20歳くらい?)が、薬で女の子(13歳くらいか?)になるお話です。

それで、女の子の人生を経験するお話です。

それを丁寧に描いています。

もちろん、あくあまでアニメ調という枠での丁寧さ、リアルさなのですが、それでもこんなに丁寧に描いている性転換物ってあっただろうか?

 

普通は男が女に変わった時は、男の本能が残っていたりして、エロに走ったりします。

しかしこのアニメは、体が女になってしまったので、感覚も女になっていっている、と描いています。

これをちゃんとやるのが面白い。

そうすることで、あくまで「新たな人生をやり直す」という話になるからです。

だからこそ、やらしくなく見れるのでしょう。

やらしくはないが「13歳くらいの女の子として、人生をやり直す」と言う話になるので、ちょっとこっちの方が変態っぽいけどね。

 

でも昔から、性別が入れ替わる物語はありますね。

とても売れたアニメ「君の名は」がそうですし、そもそも前から男と女が入れ替わるものはありました。

入れ替わることで、違う性別のいい所や問題を認識していく話です。

そして性別以外にも、違う人の人生の良し悪しを体験する話でもあります。

 

違う人生を体験する話としては「ふたりのロッテ」とか、見てないけど「マルコヴィッチの穴」もそういう話なのかな?

 

他にも、単純に「女なのに男のふりをする」と言う話は昔からありますね。

ただこれは、興味のある別の人生を体験する話、では無い時の方が多いでしょう。

なので、これは今回の話からは省きます。

 

逆に男なのに女のふりをするのもあると思いますが、こっちは題名が思いつかない。

つまりこっちは、エロい話以外だとあまりない話だと思います。

これも今回は別の話なので、省きます。

 

別の人生を体験する物を、大きなジャンルに集めると「変身物」であり、だからこそ「違う自分になりたい欲求」を満たす物になりがちです。

 

「変身物」で「違う自分になりたい物」と捉えれば、大人になる「メルモちゃん」や「ひみつのアッコちゃん」や「クリーミーマミ」なども、同じになります。

クリーミーマミ」などは、大きくなるばかりか、アイドルにもなるので、二重の変身願望です。

 

ちなみに、そう捉えると「キューティーハニー」も「色んな仕事が出来る女に変わる」と言う話なので、昔一度は女の子向けに作られた事があるようです。

個人的には「キューティーハニー」を体験する少女の物語にすれば、うけると思うのですが、どうでしょうか? 

現代らしく、自我もあるロボットのハニーを、遠隔操作(VR装置)で操り体験する話にすれば、少女にも男にもうける話になりそうだと思います。

 

クリーミーマミ等が含まれると言うことは「魔法少女物」も含まれると言うことです。

 

魔法少女物」も含まれると言うことは「仮面ライダー」や「戦隊物」も含まれます。

 

だとすれば「ウルトラマン」も含まれるのです。

 

これらは「別の何かになりたい願望」と言う枠では、同じだと言うことです。

その中で「強くなりたい」というのがヒーロー物です。

 

では「アイアンマン」はどうでしょうか?

もちろん「仮面ライダー」が含まれるというのなら「アイアンマン」も含まれるでしょう。

そして大きくなる「ウルトラマン」も含まれる。

だとしたらウルトラマンとアイアンマンを足した「大きなアイアンマン」はどうでしょうか? もちろん含まれると思うことでしょう。

「大きなアイアンマン」こそが「ガンダム」なのです。

 

ガンダムとは何か?」と言う所にたどり着きました。

ガンダムとは、変身願望が生んだ「大きく強い力を得た、巨人に変身した姿」だという事です。

なのでガンダムは、人形(ひとがた)でなくてはいけないのです。

 

他の「変身願望物」を見れば分かると思いますが、どれも「何の努力もなく、魔法か科学力でなれる物」です。

つまり、ご都合主義であり、簡単に努力もしなくてなれないと、いけないのです。

だからガンダムはすぐ乗れるし、すぐ強いです。ニュータイプだからです。はじめから、意味など無く、ただ強いのです。

「都合よく、たまたま神に選ばれた優れた人であってほしい」という願望を具現化したのが「変身願望物」なのです。

これらは、ご都合主義の麻薬なので、気をつけないと溺れてしまいます。だから注意です。

 

ちなみに、もっとすごいご都合主義の塊が「ドラえもん」ですね。

あっちは、色々な道具で、これらの願望を次々叶えていきます。

だから、ドラえもんの方が物語としたらすごいですね。

これらの「変身願望物」のすべてを網羅する物語にも出来るからです。

とは言え、ドラえもんでこれらは難しいので、もっとリアル寄りのドラエもんがあってもいいかも知れませんね。

でも、もう一回言うけど、麻薬なので、取扱は注意ですけど。

 

では「ガンダムとはどうあるべきか?」という私の答えです。

が、その前に、なぜ「ガンダムとは何か?」ではなく「どうあるべきか?」なのか?

それは「富野さん達も、なんとなくは思っているけど、強く思ってはいないだろう」と私には見えるからです。

私には富野さん達が思っているより「もっと強く意識して描いたほうがいい」と言う答えなので「どうあるべきか?」の方が意味が近いと思いました。

 

ガンダムとは【力】の話にするべきだ」と言うのが、私の答えです。

 

急に力を得て、おかしくなった人達を描くべきなのです。

閃光のハサウェイ」などは、この要素があります。

しかし考えてみたら、これを強くは描いてませんね。

他の富野作品も、この要素は強く描かないので、強くは思ってないのでしょう。

 

ガンダムに出てくる横柄な人達は、ガンダム等のロボットに乗ってる前から横柄です。強気な人もロボット関係なく強気です。

だから「強いロボットに乗って強い気になって、おかしくなっていく人達」と言う描き方ではないのです。

 

しかし、ガンダム類の物語とは、「力を得た人達が、力の使い方を間違えて、制御できなくて、おかしくなっていく物語」です。

だから、そこを意識して強く描いて行くことこそが、ガンダムという話の正解に持っていく近道になると思っています。

(身近な例で言うと、ネットゲーム内だと強気になる人や、車を運転してると強気になる人がいますよね? これらもそうです。力が人をおかしくしていくのです)

 

学生運動でも戦争でもテロ行為でも、全てが【力】を得た人が、使い方を間違ったり、力があると勘違いした人達の話なので、力の話に出来るはずです。

Gレコで言ってた「宇宙でなど暮らせない」などの話も「行き過ぎた力を得た」が「制御できない力」であった、と言う話なので、言ってみれば力の話なのです。

そして力に頼らず「昔ながらの生き方」(農業とか恋愛とかの)で上手く生きていけるし、そもそも「人と言う動物は、そういうふうにしか生きられない」と言う話がGレコだと思うので、もっと【力】を意識するべきだったと思うのです。

 

ちなみに「水星の魔女」も【力】の話になることでしょう(まだ終わってないので、多分そうなるという事です)。

 

力を得た庵野さんが、使い方を間違えたのがエヴァでした。

力を得なければ、ただのオタクで生きられたのが庵野さんでしょう。

もちろん力があったために、得たものが大きかったのも庵野さんです。

だからこそ「力を捨てろ」ではなく「力をどう制御するか?」と言う事です。

これは富野さんも同じです。

新海さんも細田さんも、力を得たから得たものも大きいが、皆の反感も強いのです。

皆、力を得たが為に、人生がおかしくなっていく話なのです。

 

なので私は、「ガンダムとは【力】の話であると、強く思い描く物」と言うのが答えだと思います。

 

もっとちなみに、

イクニさんや、宮崎駿さんは、結構上手く力を制御できていると思います。

理由は一つではないでしょうけど、力を制御するのが上手かった寺山修司高畑勲の両名が、精神的に近くにいたのが効いていると、私は思っています。