ちょっと、今の日本の映画レベルは残念だな、と思った事を話します。
そこから、アニメで生きながらえている不思議を感じたので、書きます。
フェリーニの映画「8 1/2」を検索しても、何も答えは出てこない。
検索でよく出る名前で、町山さんがいる。よくは知らないのだけど、この人映画評論家ですよね?
この人が出てるyoutubeの動画を見付け、「8 1/2」の事を少し言ってたが、たぶん内容は分かっていない。
しかしいくら検索しようが、他の評論家の名も出てこない。
「こりゃダメだ」と思ったと言う話です。
フェリーニは、世界の映画監督に人気がある人です。
町山さんの動画で言ってたのが、デビィットリンチの家に行ったら「8 1/2」のポスターだけ飾ってあり、リンチはこの映画がたいそう好きだったようです。
流石にリンチは西洋人なので、この映画でやってた事は分かっていたはずです。たぶんですけど。
町山さんは、たけし監督の事も言ってました。たけし監督もフェリーニが好きで、部分的に真似ていたようです。
まるっきり別で、ネットで検索をしてたら、太田光さんと伊集院光さんのコメントが出てきました(ラジオか何かの対談か?)。
たけし監督の作品を見た誰かが「リンチみたいですね」と言ったら、たけしさんは「フェリーニだよ」と怒ったそうです。
これを聞いて、伊集院さんは「フェリーニくらい見とかないと、いけないと思った」と言ってました。
(ちなみに、このコメントの出処が分からなかったので、疑って下さい)
これを聞いて思ったのが「たぶん、たけしさんもフェリーニを理解はしてないのだろう」という事です。
なぜなら、リンチと比べられて怒り、フェリーニだと言い直すのだから、リンチもフェリーニも分かってないように思えたのです。
どちらもトリッキーな映画を作る人で、しかも上手いトリックを駆使します。
ただやり方が違うのだけど、それでもどっちも上手いですね。
それを分かっていたのなら、ただ怒って言い直させるなんてしないだろうと思ったのです。
ちなみにさっき言ったようにリンチのほうがフェリーニを理解していた可能性が高いです。キリスト教圏の人だからです。
もっとちなみに、このコメントだと、太田さんも伊集院さんも分かって無いような口ぶりでした。
分かってたら何か言うでしょうから、何も言わない時点で、何も分かってない。
そして町山さんも、他の評論家も、誰も何も分かって無いようです。
他の評論家が言っていれば、町山さんは知っているだろうからです(もちろんわざと言わないという可能性も、無い事もないのですが)。
ネットでのコメントでも誰も分かってない。
しかしです。「魂のジュリエッタ」が向こうで賞をとったようなので、西洋人の賞を与える人達には分かっているという事です。
分かって無ければ「魂のジュリエッタ」など、ただつまらない作品だからです。
つまり、外国はレベルが違うということだし、だから日本の映画はダメなのでしょう。
そして寺山修司です。もちろん彼は分かってましたね。
だからこそ、自分の作品に入れ込む事が出来るのです。
寺山を、ただの真似が上手い人だと言う人がいるけど、その人達も何も分かっていない。
分かっていたら、寺山がどれだけ上手く取り入れたが分かり、褒めるだろうからです。
とにかく、今や寺山さんも亡くなり、今の日本の映画のレベルは酷いものになりましたとさ。という残念なオチです。
イクニさん事、幾原邦彦さんが若かりし頃、他人を馬鹿にしたのが分かります。
なんて他人は馬鹿なのだろう? と思ったに違いがないのです。
そのイクニさんが、寺山さんの後で作ったのが「ウテナ」ですね。
そして映画版より12年後の「ピンドラ」になるのです。
この2つ、ウテナとピンドラに触発されて、いくつかの作品が出てきました。
「忘却の旋律」とか「スタードライバー」ですが、どっちも榎戸さんなので、分かっていて当然です。
完全にイクニさん榎戸さん関連以外だと、「ワンダーエッグプライオリティ」ですが、これは最後コケたので残念でした。
そして現在、とうとうガンダムで出てきたのが「水星の魔女」ですね。今の所(8話まで出ている時点)これが上手く行きそうなので、好ご期待です。
フェリーニを見ていて真似たのか? 他の作品から真似たのかは分かりませんが、暗喩物語を作るゴダールとかベルイマンも含め、みな亡くなりました。
寺山も亡くなりました。
そして、日本だとこれらの作品を、誰も理解してない物になりそうだったのです。
しかし、そこでイクニさんが出してきた作品からアニメ業界に伝わり、生き続けているのが面白いです。やはり日本は不思議な国ですね。
TV版「エヴァ」の最終回は「8 1/2」から来ていると、言われているようです。
これを聞いた時「本当か?」と疑いました。
なぜなら、だとしたら、上手くないからです。
しかし「エヴァQ」の後の予告で、8+2号機を出そうとしてたのを知りました。8号機と2号機を半分ずつくっつけた機体です。
これが「8 1/2」のオマージュで無くてなんなのでしょう?
庵野さんがまた「8 1/2」をやろうとしてたので、フェリーニの影響でTV版でもやったのは間違いがなさそうです。
しかし、「8 1/2」を理解してなかったのか? もしくはただ上手くなかったのか? わかりませんが、「エヴェ」で「8 1/2」をやるのは間違いです。
「8 1/2」はキリスト教圏だから通じるだけの話だからです。
その間違いに気がついたのでしょう。
だから結局「シンエヴァ」では8+2号機はボツになり、出てきませんでしたね。本当に良かったです。また失敗するところでした。
そしてもう一つの原点「田園に死す」からの正解にたどり着いたのでしょう。本当に良かったです。
さあ、ここで面白いのがイクニさんの「ユリ熊嵐」です。
「ユリ熊」は年代的には「エヴァQ」の後の作品ですね。
「ユリ熊」こそが「日本版 8 1/2」でした(これは前の考察を検索して見て下さい)。
「ウテナ」「ピンドラ」「ユリ熊」そして「さらざんまい」と続きます。
なぜ? 「ユリ熊」だけ庵野さんが関係ないのか? と思ってました。
しかしです。「ユリ熊」が「8 1/2」だとしたら「エヴァの8 1/2の使い方は間違いだ」と言うメッセージになります。
これは、狙ったかはわかりませんけど、元が「エヴァ」関連から「8 1/2」に繋がり、そこから「ユリ熊」を作ったかも知れないのです。
なので、イクニさんがエヴァでの使い方の間違いを言いたかったかも知れないな、と思えてきたのです。
その前の「ピンドラ」で、すでにエヴァの最後の方向性を出していたので、これも遠くから庵野さんに伝えたかったのかもしれませんね。
誰も分かってすらいない世界で、イクニさんは分かっていて、しかもそれを自分なりに構築して、自分の作品にして出してきたのが「ユリ熊」です。
そう思うと、イクニ作品の最近では一番地味だった「ユリ熊」の凄さを再認識してきました。
いやあ、日本でのフェリーニなどの流れは、かろうじて生きながらえ、ガンダムで復活したのが最近です。
一般に知れ渡って、有名な作品として残りそうなのが素晴らしいですね。
このガンダムから、次の世代にも続いてほしいですね。