号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

イタリア人にとって女は聖霊

フェリーニの映画「魂のジュリエッタ」見ました。考察です。

 

始めに、

細かな要素は分かりませんでした。

これ以上は、キリスト教に詳しくないと無理でしょう。

しかし、大枠はあってる気がするので、書くことにします。

 

これは「8 1/2」の後の作品で、この映画と関連性があると言われているようです。

まずは表から、

「8 1/2」はフェリーニ自体の事を描いているように見える作品でした。

そして今回「魂のジュリエッタ」はフェリーニの奥さんの事を描いているように見える作品です。

今回の主役ジュリエッタは、本当の奥さんのジュリエッタさんが演じてます。

そして役的に旦那が浮気しているようで落ち込む役です。

本当にフェリーニは浮気をしていたようで、この映画のとってる最中に別居したとか? しないとか?

だから本当の奥さんの話を描いているようであり、前に自分自身描いた映画と、対になる映画に見えるように作ったのでしょう。

 

次に裏の話です。

そもそも「8 1/2」を分かっている人には、この映画の題名でやりたい事が分かると思います。

原題がイタリア語で「Giulietta degli spiriti」だそうです。

初めのジュリエッタは名前そのままです。

degli」は、「何何の」の「の」だそうです。

そして「spiriti」はイタリア語が分からなくても予測できます。英語の「スピリット」ですね。そして「精霊」のことです。

ホーリーが付き、ホーリースピリットで「聖霊」の事になります。

だから分かりにくくしてますが「spiriti」は聖霊の事でしょう。

つまり「聖霊ジュリエッタ」と言うのが本当の題名です。

 

「8 1/2」では聖霊役の人は、本名と同じ役名で出てました。

だから「魂のジュリエッタ」でも同じです。役名と芸名が同じ人は聖霊なのです。

なので、ジュリエッタ聖霊です。

 

この聖霊とは何なのか? はいまいちよく分かりません。

キリスト教の三位一体で出てくるものですが、宗派によって変わるようなのではっきりしません。

それに、たぶんですが、フェリーニ聖霊に自分なりの解釈を入れているらしいし、聖霊すらも暗喩として描いているように見えます。

つまり、聖霊がもれなく「女」なのは「女というのは男にとって、聖霊のようなものだ」と言うイタリア人らしい暗喩が含まれている様に見えるのです。

 

海水浴をしているし、ここもまた暑い場所なので、また煉獄でしょう。

だから地獄には行かないが、天国にもいけないような人達が、うろちょろしているのです。問題がありそうな人ばかりが出てきますね。

また女が水に飛び込んでましたね。水で清められるのが煉獄だそうなので、「8 1/2」でも水を飲むしサウナで清められてましたが、今回も同じ理由です。ベルイマンの「沈黙」のラストも同じ理由です。

(追加、家以外の映るのは煉獄だが、ジュリエッタの家の場所は違うかも知れないと思えてきました。あそこは天国かも知れない)

 

最後の方でジュリエッタは「旦那を捨てたがっているのは、ジュリエッタの方だ」と誰かに言われ「そんな馬鹿な」と言う態度をとります。

ここで大事なのは「実は別れてしまって困るのは旦那の方だ」と言うことです。

つまり、煉獄でさまよっている死人の旦那に、ついている聖霊ジュリエッタだということです。

(追加、間違ってました。後半で答えを言います)

 

旦那の浮気相手に見えるガブリエッタ誰か? ガブリエルの事でしょう。

つまり、天使にうつつを抜かしたのを表したのが、浮気なのでしょう。

「そういう間柄ではない」と旦那は言ってましたが、それは本当です。天使だからです。

しかし、聖霊ではなく、天使にうつつを抜かすのは死人には意味がないことなのでしょう。例え素晴らしく見えてもです。

聖霊に懺悔をして天国に行けるのに、天使の方に好感を持ったとしても、何も出来ないと言いたいのでしょう。

もちろん天使のほうから何か言ってくるなら、それは神の伝言だから聞く必要があるけど、自分から天使に憧れても意味がないのでしょう。

(追加、ここも微妙に間違っていました)

 

最後の方のジュリエッタが死人や悪魔らしいのが見えるのは、試練かな?

迷った不貞をはたらこうとしたジュリエッタへの、ガブリエルからの試練かも知れない。

ガブリエルは最後のラッパを吹いて死人を蘇らせる役だそうなので、ここでも死んだ人達を蘇らせたのかな?

 

最後の火炙りの子供を助けたのは、誰かを助けたのか? もしくは自分自身を助けたのか? もしくは両方か? をして、誰かを助ける役である事を思い出し、自分を取り戻した、と言う話かも知れません。

 

ちなみにジュリエッタは、子供の頃に火炙りの刑の役をしたようですが、実際本当に火炙りにされたのかもしれませんね。

そして死んで、天国に生き、それで聖霊になったのかもしれません。

 

こんなもんですが、やはり細かな所が分からない。

旦那の友達とか、森に行き終わるとか、キリスト教の何かに係っている気がするけど、分からないなあ?

ジュリエッタの妙にアジアっぽい帽子も気になるし、何かあるのか?

 

暗喩は抜きにして、物語としては本当につまらない話です。見てるが辛い。

これがゴルデングローブ賞だそうです。

だからネットの感想で「こんなのが賞とったのか?」とありましたが、そう思う方が正しいでしょう。

ただ、流石に賞を選ぶ人は暗喩が分かっていた、と言う事です。暗喩もないと、ただつまらない話だからです。節穴ではな無かったという事ですね。

 

おまけとして、

見た感想で、寺山修司っぽいなあ、と言うのがありました。

もちろん、寺山の方が後でしょうから、寺山が真似たのです。

寺山の作品の不思議さが、どこから来たのかと思っていたけど、フェリーニも関係があったのでしょうね(他の監督や作品からの影響もあったのは、しってましたが)。

で、面白いのは、寺山の完成度の高さです。

後の作品だからそうだろうけど、ただのモノマネでなく、洗練して出してくる所が流石ですね。

その不思議な画作りに、ちゃんと細かな意味や暗喩を入れて来るのが「田園に死す」でした。

だから「魂のジュリエッタ」を見た時は、「田園に死す」の完成度の高さの方が気になりましたね。

この「元があり真似てくるが、洗練させて出す」所が寺山の真骨頂です。

そしてそれはイクニさんにも通じる所です。

元よりレベルをあげて出す彼らは、やはり他の人とは違うレベルの人だと思います。

 

 

11月14日 午後追加

 

もう少し考えて追加、変更しますが、やはり漠然とした所がある考察なのは、勘弁です。

 

この頃の社会情勢が分からないと、はっきりは分からないのかもしれない。

山田玲司さんがスターウォーズの考察の所で、この時代はヒッピーとか東洋思想が流行っていた、と言う様な事を言ってました。

確かにヒッピーも流行っていたし、ヨーダもフォースも東洋思想から来てると思います。

東洋的な神秘と自然回帰などが合わさって出来た、思想や流行りでしょう。ヨーダも森にいて、ヒッピーも自然的なものを良しとしますね。

しかしそれは、キリスト教には相いれない考えです。

 

魂のジュリエッタ」の旦那は、「神」自身かもしれないと思えてきました。

男女の占い師みたいな奴が「旦那は神だ」と言います。これはヒントと言うより、答えな気がします。

 

そしてジュリエッタも、妙に東洋的な服を着ます。

日本の事も話します。

他にも、東洋的な人達が多く出て来ますね。

つまり、「旦那=神」を信じられなくなった「キリスト教の信者=ジュリエッタ聖霊」の事を描いていた気がしてきました。

旦那がガブリエルと仲良くしてるのは、不貞ではない。

だとすると、旦那を信じられなくなった奥さんに、問題があると言いたいのでしょう。

(三位一体だと、父なる神も、神の子供も、そして聖霊も同レベルで一体だと言う事らしいです。奥さんが旦那と同レベルで一体とみなされる、と考えれば、旦那が神であってる気がします)

 

そして奥さん自身が不貞を働こうとします。これが暗喩的に東洋思想にかぶれて行った事を描いている。

東洋思想と寝てしまいそうになったが、火あぶりの刑が頭に浮かぶのです。

それはキリスト教への冒涜であり、だから火あぶりです。

(フリーセックスみたいな考えもあったのが、ヒッピーですね。一部の人かもしれないけど)

 

だから最後は「火あぶりになりそうな子供=自分」を助ける。

火あぶりから逃れる事は、キリスト教を信用する事です。

これが「東洋思想の幻=最後の悪魔みたいな人達」を否定すると言う事でしょう。だから幻は消えてなくなるのです。

 

だが最後に声が聞こえる。

これが悪魔のささやきなのでしょう。ホラー的に「実はまだ微かに残っている」と言うシーンです。

だから最後は、森にふらふら向かう。

東洋思想や自然回帰にふらふら行ってしまう、危うい最後、と言う訳です。

(始めの霊との交信や占いも含め、これは東洋的なスピリチュアルな神秘の力です。フォースもニュータイプもここからでしょう。つまりこの頃の東洋的な流行りが霊から声や不思議な力です。その声が聞こえると言うのが、東洋的な考えがまだ聞こえる、と言う暗喩です)

 

つまりこの頃に流行っていた、非キリスト教的な物に対する、否定や警鐘だと思います。

だとすれば、なお更ゴールデングローブ賞なのが分かります。

この当時それを決める人達は、たぶんキリスト教徒でしょうからね。

そして社会の流行に乗る人達を戒める、社会風刺物語でもあったのです。

 

こう考えると、この作品も、思ったより良く出来てました。

何度も何度も、あとで思ったより良く出来ていた作品だと気が付くのは、進歩がないなあ、と自分を戒めたいと思います。

 

2022年11月15日 補足

 

途中出て来る旦那の友達は、ミカエルか。

wikiによると、ミカエルと言う名の意味は「神に似たるものは誰か」だそうです。旦那に似てましたね。

ミカエルはよく甲冑で描かれ、剣をを持ち、赤色で表される事が多いようです。

だから旦那の友達も、闘牛をするし、登場時は赤ばかり出て来ましたね。

 

だとすると、急に最後の方に出て来た、ジュリエッタの助言する精神科医みたいな長身のおばさんが、ラファエルですね。

ラファエルが「神は癒される」と言う意味で、癒しを象徴するようなので、たぶんそうでしょう。

 

ちなみにガブリエルが「神の人」と言う意味だそうです。この言葉から浮気相手の様な役だったのでしょう。

ガブリエルが「神の言葉を伝える天使」と言う意味で、だから電話でしか出て来なかったのでしょう。

 

などなど、ちゃんと意味があるのは流石です。

 

2023年6月28日 しつこく補足

 

漠然としているのは勘弁です。

 

ジュリエッタは誰だろう? とはずっと思っているけど分かりません。まだ分かりません。

しかし「もしかしたら?」が出て来たのでいいます。

 

四大天使の最後の一人、ウリエルかな?

 

カトリックでは堕天使あつかいだそうです。

しかし昔に天使信仰が強くなりすぎたので、規制したためにそうなったようです。

 

wikiによると「人になった天使」と言う言い伝えもあるようです。

地獄の罪人を苦しめ、最後の審判の時には門を開くのだそうです。

 

これらが映画の中のジュリエッタっぽいかな? とも思えます。

(海水浴をしていて、あそこは熱い場所であり煉獄かな? と思ったけど、地獄かも知れません。どっちであってもなぜ出て来るのか? と言う意味において、地獄に行ける天使の話だとしたら、あってる気がするのです)

 

元々そう思ったのは、ジュリエッタは妙に赤を着るよな? と思った事からです。

色々あるようですが、四大天使で赤だと、やはりウリエルだそうです。

 

それに三大天使が出て来るなら、もう一人は? となるので、あってる気がします。