号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

結局は相性

2022年のアニメ「うる星やつら」第一話見ました。

ただの感想です。

 

オープニングテーマを見れば分かるように、漫画を踏襲して描くのでしょう。

オープニングで、わざわざ漫画の絵を載せるくらいだからね。

この事は、前から予測してましたが、まあ、それしか無いでしょう。

 

そして始まった第一話、つまらないですね。

でも漫画「うる星やつら」の初めの方って、つまらなかったですよね?

だから、ここも漫画を踏襲してます。

これがまた面白いのは、漫画をそのままやる事の問題点と限界が見えてる所です。

つまらないものをそのままやるから、つまらないのです。

 

しかし、そうなると、これから面白くなるのは間違いがないので、そこもまた面白いですけどね。

私の記憶だと、漫画は6,7巻位が、一番面白かった気がします。

だから、アニメもこれから面白くなって行くことでしょう。

そして後半は、漫画と同じでマンネリになり、今一になって行くことでしょう。

 

オープニングとエンディングテーマ、について、

現代っぽく頑張っています。たぶん基本はよく出来ているのでしょう。

しかし、聴き比べて気がついたのが「やはり昔のオープニングとエンディングテーマは、とても良く出来ていたのだな」という事です。

あれらと比べると、今回のはパンチが足りないですね。追いついてません。

ただ、これは昔のがよく出来ていたと、褒めたほうがいいでしょうけど。

別に私は、昔のオープニングとエンディングの歌自体は好きではないです。

好きではないのに、あのアニメにはとてもあってましたし、雰囲気もいい味出してました。

これは、比べてみると分かると言うやつです。

昔のは、とても良く出来た歌だったのですね。

 

内容について

今回あらためて考えてみてると、意外、と行ったら失礼だけど、結構よく出来た設定だった気がします。

高橋留美子さんは、たぶん頭ではしっかり考えてはいないと思うのだけど、基本の考え方が良く出来た人なのでしょう。

例えばランがそうです。あのぶりっ子で可愛らしい格好をしている女は、裏ではドス黒いぞ、と言う現実の基本がしっかり分かっている人なのでしょう。

 

ラムはなぜあたるが好きなのか?

これは、よくあるご都合主義的少年漫画だから、と思ってましたし、今でもそれもあると思ってます。

しかし意外とよく出来た話だったのかもしれません。

ラムの元カレ、レイが後で出てくるのが良く出来てますね。

レイがイケメンだけど、どうしようもない男です。中身がない男でした。

それで、イケメンはダメだなと思ってしまった。

そこで、動物的にガツガツ来る男(に見えた)あたるに会ったのです。

 

レイは、自分に興味が(食べ物ほどは)ない男だと気がついた。それにつまらない男だと気がついたのでしょう。

その時に、自分に結婚を申し込む男の事に、興味を持つのはあっていますね。

もちろん「勘違い」だったのだけど、そこも子供っぽく馬鹿なのでしょう。

あと、ラムは、いい所のお嬢さんなので「自分に結婚を申し込む男が居て当たり前」と言う考えから、勘違いしてしまったのでしょう。

 

さて、始めは勘違いであったとしても「これは自分の男だ」とラムが思ってしまった、と言う所が大事です。

自分の男が、他の女に興味を持つのが、気に入らないのでしょう。

これがまだ「自分の男」でなければ、去っていくのだけど、自分の男だからこそ、頭に来て怒るのです。

 

そしてラムはあたるを追いかけます。

実はラムは追いかけるのが好きなのでしょう。

レイの時も自分から行ってるし、実は自分から追いかけるタイプの女です。

ただレイの時にこりごりしたので、次は違うタイプの男、あたるに行った筈なのに、ただの勘違いだったので、また追いかけてしまってるのです。

ただまた追いかけてるのだけど、実は追いかけるのが好きなタイプなのです。いますよね?

いや少女漫画では、始めは振り向かない男を、最後はゲットする話だったりするので、その感覚は多くの人にもあるのでしょう。もちろんほとんどの人は、ガツガツは行かないだろうけど。

 

それに追いかけるにも、感情をあらわにして、追いかけます。

ここもレイのときとは違うのです。

つまり「自分らしく振る舞えてる」という事なのです。

だから、実はラムはこの状態が、居心地がいいのだと思います。

 

ここで、あたるが変なやつなのも効いてきます。

あたるは変なやつですが、高橋さんが女性なのも、理由としてはあるでしょう。つまり男をよく分かってない。

ただ、なんであれ、変わったやつです。

あたるも、女を追いかけるのが好きなのに、大したことは何もしない。

つまり「女のを追いかけるのが好き」なのです。

それでゲットする事ではなく、追いかけるのが趣味なのです。

これはあたる自身が、漫画かアニメかで言ってました。

「ラムに追いかけられながら、それを誤魔化しながら上手いことをやり、他の女を追いかけるのが面白いのだ」という事をです。

まあ、ラムもあたるも、似たもの同士だと言うことです。

実は「追いかけること自体が好き」と言う程度だからこそ、ラムとの関係が壊れないのです。程よいゲームだからです。

 

高橋さんの短編漫画で、ケンカ好きの夫婦の話があります。

夫婦ケンカが好きな夫婦の話で、ケンカしている時はお互いストレス発散できて、上手くいっている、と言う話です。

うる星やつらも、これと同じです。

ちょっと不思議な感覚の二人が、たまたま趣味があったので、上手くいっている、と言う話だったのです。

 

この恋愛ゲームをしている奴らって、他の人には本当に迷惑です。犬も食わないとはこの事です。

飽きてきて、わざと男女間の付き合いをゴタゴタさせて楽しんでいる人って、現実にいませんか? いますよね? 面倒な人達です。恋愛ゲームを楽しんでいる人達です。

 

だから、あたるとラムもそうなので、ただの面倒くさい奴らの話になりそうなのだが、今一鬱陶しくないないような作りになってるのが、上手いのです。

流石に付き合いが長いと愛着も湧いてくるのと言うのも、ちゃんと描いています。

あたるがテンの宇宙船に乗り、バッタみたいな格好でラムを追いかける話だったり、ラムが牛になると思い牛小屋を作る話などです。

それらがあるおかげで、上っ面の恋愛ゲーム「だけ」ではなく、本当の気持ちもあるはなしなのだな、と思えるから、あまり鬱陶しくなく見れたのでしょう。

 

ただ、そうはいっても、ご都合主義的な物を、見せる話でもあります。

つまり「男と女の付き合い始めの、追っかけたり、追いかけたりしてる時が一番楽しく、それを延々繰り返している男と女の話」なのです。

この現実にはない理想を、見せる話でもあるのです。

 

それを今回のアニメでは分かっているようです。

始めのラムとの鬼ごっこで、ラムが楽しそうな表情を見せますね。これがいいですね。

ここで、追いかけられる面白さを感じてしまい、あたると付き合おうと思う、と言う流れです。

ただ、実は勘違いであり、ラムはその後追いかける側になるのだが、実はそれで合っていた、と言う話なのです。

たぶんこの後もラムが追われる側なら、長続きしなかったでしょう。そういう物です。良い悪いではなく、間違っていたからこそ、相性が合ったということです。

ただ、追いかけられる方と、追いかける方を間違いたとしても、それがラムにとってもあたるにとっても面白く、それを最後まで続けると言う話です。

そして最後も鬼ごっこだし、終わってからもまだ続く、と言う話でした。

この「追って追われる話」と言うのが「うる星やつら」だ、漫画では最後には分かっていて、だからあの最後にしたのでしょう。

そしてアニメ化でも分かっていたから、鬼ごっこで楽しみを感じた、と言う演出を入れてきたのでしょう。

あの鬼ごっこで「ラムが楽しみを感じた瞬間に、物語が始まった」感じが出てて、良かったです。

そして、その楽しみが勘違いで反対側になるのも、ギャグ漫画として成り立っていて面白く、そして実は反対で正解なのも、ラブコメの流れとして見事です。

 

ラムもあたるも、少し他人とは、ずれている趣味がある。

それが合っていたので、相性がよく、だから他人が入れる余地がないのです。

結局は「相性か」と言う話でもあり、だから「みなさんも、相性がいい相手を探しましょう」と言う話だったのです。