号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

グッバイ、ワンクール

アニメ映画「グッバイ、ドン・グリーズ!」感想、ネタバレです。

 

アニメ「宇宙よりも遠い場所」の、いしずかあつこ監督の作品です。

で、今回はこの人が脚本だそうです。

そうなると、脚本は一人では、やらない方がいいのかも知れません。

 

みんな、思うだろうけど、尺が短すぎる。

友達と親交を深め、そして死に、しかもその後まで描く。

これを95分位で描こうとするのだから、土台無理です。

なんで「宇宙よりも遠い場所」をやった後なのに、この人にワンクールあげなかったのでしょうかね? 意味不明です。プロデューサーが悪いのか?

 

今回の主役級の三人、男臭がしないんだよね。

つまり宝塚でやってるような感じになっている。

これは女性監督だからだろうか?

 

ただ、「宇宙よりも遠い場所」の女の子も、嘘の女の子だったので、それでいいと思って描いた気はします。

でも、せっかくなので、今回は中学生くらいにしとけば、この性別がない感じでも通った気がしますが、どうでしょうか?

 

内容も、ほぼよくあるものの詰め合わせです。

これも、尺があればもっと色々出来たのじゃないのかな? と思えて仕方がないですね。

尺がないと、よくあるものをやるだけで終わってしまう。

でも、よくあるものが無いと、全体として不思議な作品になるので、それも出来ないのです。この作品のような、普通の種類の作品だとです。

 

ネットでの意見で「人が死ぬといいと思ってるだろ」と言うのがありました。その通りです。

これは、死に至るまでが短すぎて、急に死んで、急に悲しませようとしている、様に見えるのが悪いのです。

 

他にも、ドロップが不思議すぎて、嘘っぽすぎる、とネットでの感想でありました。これもその通りですね。

これはなんだろうか? なんでこんなに妖精のようにしてしまったのか?

もっと普通でよかったのじゃないのかな?

ただ、この内容だと、このキャラに魅力がないと、つまらなすぎるので、そうしたのだと思います。

でも、これもキャラがいきてくる時間が無いのが、問題だと思います。

 

女子もよけいだし、病気とかの説明も不十分だし、ドロップ急にいるし、何をしたかったのかな?

とにかく、上手くないことだけが目立った作品でした。

 

さあここから、どうすれば良かったのか? 考えていきます。

個人の素人考えです。ただの、たたき台として見て下さい。

それに、終わったものに、文句を言うのは簡単なのは、分かって言っています。

しかし、それでも後世のために考えて見ることは、必要だと思います。

素人が考える必要があるのか? と思った方。例えば、サッカーが強い国では、素人さえもサッカーに対して語れます。日本も昔は野球に付いて語るおっさが沢山いました。

つまり素人が語れる国は、プロはもっと語れますし、優れているのです。

 

まず、ワンクールもらいましょう。じゃあないと、この話は無理でした。

 

死ぬ話にしたいのなら、始めから言ってしまったほうが良かったでしょう。

ドロップが学校に来ない事も不思議だったので(物語の作り上)、それも含めた考えます。

例えば、単純にドロップが中学校に転校してくる。

外人だし、皆に注目される。

しかし、あのさえない二人に近づいていく。妙にこの二人と仲良くなりたそうに、ずかずかと近づいていくのです。

まわりにも「なんであんな奴らと仲良くなりたいのか?」と言われだし、主役二人も鬱陶しくなる。

そこでドロップに「しつこく言ってごめん。時間がないんだ」「もうすぐ死ぬんだ」と言わせてしまう。

始めから死ぬと言ってしまえば、嘘にならないのです。

「死ぬことで悲しませようとしている」と思わせなくて、あくまで「死ぬことを前提とた物語」と思わせることで、納得させてしまうのです。

これはトワイライトゾーン理論です(私の自論です)。トワイライトゾーンはなぜそうなったのか? が無いですよね? あれは「ひと時の不思議な状態を描く物語」と言う前提があるから、理由が無くてもいいのです(それと短編だからです)。

 

そして、なぜか自分らによってくる外人、ドロップが来て、ずかずか色々やろうと進める事により、この二人の冒険に勢いがます、と言う話に出来たはずです。

この子の登場により、冒険が始まった、と言う話に出来たはずなのです。

それで、関係性も深められたし、物語性も作れるし、無茶を色々やっていく理由も出来たはずですね(この話自体も、元々はそう言う話をやりたかっただろうけど)。

 

しかし、だからと言って、最後死ぬ理由もなかった気もします。

「死ぬ」と始めから言っときながら、最後死ななくても良かった気がします。

そもそも、最後のファンタジー感を出すのでいいのなら、死ぬこともなかった。

 

例えば、最後、ドロップは何処かに引っ越してしまう。

弱った自分を見せたくないから、黙って何処か外国に行ってしまうのです。

 

最後、手術をして寝ていて起きないドロップ。

母が横に座り、子がお守りと行っていた紙を取り出す。

何かと思いみたら、電話番号が書いてある。

なんだろうと思うが、何かを感じ、そこに電話してみる。

そして、あの瀧の所の二人の電話にかかり、二人が取る。

「あなたは誰?」と母が言う、二人が電話越しに話す。それを聞いてドロップが目を覚ます。

で、よくないですか? 

ありきたりでも、ファンタジーでもいいのなら、死ぬこともなかった気がするのです。

 

ちなみに、あの電話のあたりの話の作りは良かったですね。

嘘満載だけど、盛り上がる話の作りです。

しかし、今一盛り上がらなかった。

それは「だからなんなのだろう?」と思うからです。

たまたま取った電話から、何か運命を感じ、日本まで来て、あの二人につきまとう、と言う所までやり、しかも、そこから人生が走り始めた三人、と言うのを描けてないから、この奇跡が光らないのでしょう。

 

それを、今言ったような感じにして、しかもワンクール時間をかけて描けば、いい作品になった気がしませんか?