号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

大人にならないと、いけなかったのは、製作者側でした。

アニメ映画「魔女見習いをさがして」見ました。

感想、ネタバレです。

 

元が「おジャ魔女どれみ」と言うアニメです。もちろん見たことないです。

しかし名前は知っている。じゃあ人気があったのでしょうね(Windowsで一発で「おジャ魔女どれみ」変換できますね。人気があったのでしょうね)。

 

元は、どうも子供が魔法を使う物語ですね。

その20年後の物語として、あくまでアニメ「おジャ魔女どれみ」を見てた人達が大人になった頃の話であると、あらすじで書いてあったので、興味があり見てみました。

 

俯瞰の物語にしてしまい、あくまでアニメはアニメとして、見た人達に焦点を当てる。

いや、分かるけど。しかしこれは「かなり難しい」ので、見る前に、どうなのかな? と思ったのです。

では結果どうだったのか? うーん微妙です。及第点に行ったかどうか? くらいです。

 

見た人に焦点を当てると言う事は、一見「客に寄り添っている」ように見えます。

しかし「アニメはアニメだ」と説教してる様にも見えます。

だとすると、賛否両論になるかな? と思っていたら、やっぱりそうだったようです。

 

それに現実の物語にすると言う事は、大きな事が起きない現実の普通の物語を、面白く描かないといけないと言う事です。

そもそも元のアニメがなくても、これは難しい事です。

で、内容はと言うと、うーんどうかな? せっかくリアル寄りに寄せたのに、リアルな物語がちゃっちいし、子供っぽいし、浅いですね。

まあわざと幸せ過ぎないようにしたのは分かりますが「細かな所が、子供が作っているような内容」です。

20代の子供が、この様な物語を作るのに必要だと思えるエピソードを作ったら「こうなるだろう」と言う物で出来ていた、現実を知らない作りですね。

ネットの感想で、最後の店を作るのも「現実なめるな」と言ってた人がいますが、まあそうですね。

 

最後の方に出て来る、なぜか付いてくる兄ちゃんも、ただの記号だし、会社を辞めたやつも、ひもの奴も「ああいうキャラ」と言う記号でしたね。

たぶん設定に男が係わっているだろうに、男の作りが嘘っぽいのが気になります。

あれが男が作った男キャラだと言うのなら、現実を知らなすぎる。

「人に言うより、まずはアンタラが大人になれよ」と言いたくなる作りでしたね。

 

「夢から覚ませ、現実に戻す為に、現実を描く」と言うのに、現実が描けてないのです。だから中途半端でした。

 

感想をあらためて書くと、かなり辛辣なのが、自分で気が付きました。

しかし見た感想では、そこまで酷くは感じて無いですよ。

ただ、頭で考えて、問題点を並べると、かなり問題が浮き彫りになる物語だな、と気が付いたと言う事です。

そもそもが、かなり難しい物をやろうとしたので、どだい無理だったのです。

 

何も起きない大人の物語を描ける人じゃないと、無理な物語なのです。

それこそ、こういうのが得意な有名作家ぐらいじゃないと、無理だった気がしますが、どうでしょうか?

 

 

さて、おまけで、個人的に思った事を書きます。

ネットの感想で「10年後にまたこの子らの未来を描いてくれ」みたいなのがありました。面白い意見です。ないでしょうけど。

そこから思えたのが、いっそもう10年待ち、元のアニメから30年後として描いた方が良かったかもしれないな? と言う事です。

 

三人の母がいて、三人の10歳より若い娘がいる物語です。

三人の母の方が「おジャ魔女どれみ」を見ていた人です。

その子供につまらない事を言う、大人になった彼女らの物語です。

まあ、色々あり、途中で何かのイベントで、子供らがサプライズをしようとする。演劇か? 手品か? それらを混ぜたショーか?

その練習中などで失敗をする。

それに母達が怒るわけです。

そこで、この三人の母が自分の子供の頃を思い出す。子供の頃のアニメを思い出すのです。

そして「じゃあ今度は私らが支えて、子供らの夢をかなえてあげよう」と奮闘するのです。

まあ、やはり色々問題があり、最後何とか成功させる「三人の子供らが舞台の上で成功させ、ポーズを決めて、喜ぶ」と言うシーンです。

その裏で、成功させる為にボロボロになった母たちが、自分らを見て笑い、同じく喜び合い、終わる。と言う物語はどうでしょうか?

大人になった彼女らと、次の世代の子供らを出した方が、盛り上がった気がします。

おジャ魔女どれみ」でなくてもいいので、いつかそう言う話を誰か作ってほしいものです。