号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

プーチンは何と戦っているのか?

言い換えると「プーチンの本当の敵は何か?」とも言えます。

まとめると、プーチンは今本当の敵と戦っている、いや今までもずっとその敵と戦ってきたのだ、と言う事につきるのでしょう。

 

第二次世界大戦で起きたハリコフ戦やキエフ戦を、またこの現代で起きることがあるなんて、誰が予想した事でしょう?

これはプーチンのバルバロッサ作戦ですね。*1

しかも戦っているのがロシアとウクライナです。元々ソビエトだった両国がキエフで戦っているなんて、あの世のヒトラーは笑って見てる事でしょう。

そしてヒトラーは地獄で手招きをしている。プーチンに早くお前もこっちに来いと。

 

二次大戦のキエフの戦いではソ連の大敗であり、16万人の死亡者をだし、45万人が捕虜として捕まったようです。

ここでの戦いはヒトラーにとって誉れ高い大勝利だったのだが、ここで時間をかけすぎ冬までにモスクワまでたどり着けず、寒さと披露で負けることになる。

ではプーチンはどうなるのしょう? どうもキエフは陥落出来そうです。つまりプーチンも誉れ高き勝利は収めることが出来そうです。

しかしその後は? 思ったよりキエフ陥落に時間をかけすぎ、その間に西側が結束を高めてしまった。

つまりプーチンもまた、ヒトラーの二の舞になりそうです。

 

プーチンウクライナがナチ化したと言います。なぜここでナチが出てくるのか?

それは自分はソビエト側だ、だからウクライナを攻める時に敵はドイツ側でなくてはならないのです。でもドイツでは無いのでナチにする必要がある。

これはロシア国内での年寄りに向かったプロパガンダでもあるのでしょう。

 

しかしどうでしょう? プーチンにはヒトラーが見えてないでしょうか?

地獄で手招きをして「お前は俺と同じだ。早くこっちに来い」と言っているヒトラーが見えてはいないのか?

だからそれを払拭するには「敵がナチ」でなくてはいけない。自分は自殺したヒトラーとは違うと思いたい。自分は失敗はしないと思いたいのではないのか?

 

どうもプーチンは病気かも知れないと言われてきましたね。

映像で見ても昔と違い、明らかに太ってきていて、年を取り、弱って見えます。

病気とまでは行かなくても、年を取ると疑い深くなる人もいます。痴呆もあるのでしょうか? そういう感じかも知れない。

だから意外と本当に地獄で手招きをしているヒトラーが見えても不思議でもない。

 

では地獄が見えているプーチンは幻覚を見てるのか?

いや本当に未来には地獄が待っているかも知れないのがプーチンです。

だからあながち見てるものが幻とは限らない。

 

プーチンは笑いませんね。笑わないのは構わないが、笑えないのは余裕がないからです。

この笑えない余裕のなさ、元野球選手の伊良部さんを思い出すのですが、どうでしょうか?

プーチンは体を鍛えてました。これも威嚇ですが、宰相にはあまり意味が無いものです。だから各国の宰相で体を鍛えているやつはいない。

プーチンは怖いのでしょう。プーチンの敵は「恐怖」です。そしてずっと恐怖と戦ってきたのです。

 

そうなると困りましたね。それは戦っても戦っても勝てることはない。

恐怖は幻なので消せることもないのです。

消せない恐怖と戦っているのなら終わりがない。

そして時に恐怖は死を超える。この恐怖が続くくらいなら、いっそ死んだほうがいいと思う時がある。

力なき人は自殺を選ぶ。しかしなまじ力ある地位にいる人は、死んでも構わないと言う行動に出る時がある。

一般の人だって「この恐怖が続くくらいなら、早く本番がきてくれ」と思うことだってあるでしょ? 会議とか手術とか地震とかです。

プーチンにとっては、戦い、それで死んでもいいと言う状況である可能性もあると思います。

ただそうなら困りましたね。そうならやはり核仕様の可能性がある。

最後自分もろとも消し飛ばすかもしれない。

 

ではプーチンの恐怖は幻か?

始めは幻だったことでしょう。

しかしそれに抗い戦ってきた。それで幻ではなくなってきたのです。

敵を作りすぎた。無茶をしすぎた。殺しすぎたのです。

だからプーチンが描く恐怖は、今や本当になっていたです。

 

第一次チェチェン紛争の時はまだエリツィンが大統領で死傷者10万人とも言われている。

その後の第二次チェチェン紛争からはエリツィンから任命されたプーチンが指揮することになるのだが、その頃からテロとの戦いになっていく。

(ちなみに、エリツィンも酷く、それを踏襲したとも言えるのがプーチンでもある。つまりプーチンが特別だったと言うより、あのロシアで成功するために、ロシア流のやり方を通したとも言え、そう考えるとプーチンだけ特別視すると事実が見えなくなりそうなので注意です)

二次チェチェン紛争が始まり、この頃はロシアでテロ行為が頻繁に起きたようです。*2

その中で有名なのが劇場占拠事件ですね。(ちょっとうろ覚えで間違ってたらごめんなさい)確か女の人もテロ側に混ざっていたようです。そういう人はチェチェン紛争で夫をなくしてたりします。確か夫も子供もなくし、もう失うものもないので、テロに参加した人がいたとか言ってました。

占拠した人達は人質を取り立てこもりました。人質を集め、そこに爆弾を起き、銃をもったテロリストが近くに立っているのだが足でボタンを踏んでいる。そのボタンから足が離れたら爆弾が爆発する。こうする事で、遠くから狙撃されることを防いでいたようです。

ここで大事なのが、死も恐れないし、民間人を巻き込む酷い事もする敵がいると言うことです。

これは酷いけど、敵側からすれば家族も殺されているのだから同じだといいたいのでしょう。

その後ロシアはテロには屈せず突撃をするのだが、結果129人の人質がなくなったようです。

 

他に有名なのが、ベスラン学校占拠事件です。これは学校で人質を取り立てこもった事件です。1000人以上の人質を取り立てこもったようです。その後予期せぬ銃撃戦になった、とありますが、そんな事はないでしょう。ロシア側が突撃をしたと思っています。そして300人以上亡くなり、そのうち子供が186人死亡と言う酷いものでした。

これらを見ると、テロ集団はおかしい、と言う事になるのだが、そもそもテロ集団の元になるチェチェンと紛争をして、沢山殺したのは誰か? と言う問題がある。

テロで亡くなった被害者側家族にも、この大本の理由を作ったプーチンを恨む人もいると思う。

 

その他にもプーチンは自分の為に、沢山捕まえたり殺したりしている。

ロシアのメディア王を逮捕したり、石油会大物を逮捕したりしている。

ジャーナリストも殺されてるし、亡命者も殺されてるし、野党議員も殺されている。

最近も毒を仕掛けられた議員が生き残りロシアに帰った途端逮捕されて、今牢屋にいる。そして体調がすぐれないらしい。つまり殺されかけているが、世間の目が大きかった事件だったので、まだ生かされているようです。*3

 

つまり敵が多すぎるのです。

テロ集団も民間人も財界大物もジャーナリストも野党議員にさえ恨まれている。これが意味する所は?

つまり最高権力者から降りた瞬間に、全ての敵から仕返しが待っている、と言う事です。

野党側が政権を取ったら捕まり、財産は全て没収される事でしょう。

ジャーナリストも財界人でも敵が多いだろうから、すぐにそれらの情報がロシアに流され、誰もプーチンを救ってはくれない事でしょう。

もし、自分の手下を次の権力者にすえたのなら? しかしそいつがいつまでプーチンの言うことを聞くかは分からない。大金持ちのプーチンを追い込み、自分が金持ちに取って変わることも出来ることでしょう。そういう事をしてきたのがプーチンだからこそ、他人も同じ事をすると思っている。

では亡命してはどうか?

これもそうで、敵が多すぎる。それこそ殺したい奴、しかも自爆テロさえ辞さない奴らの恨みが大きすぎるのです。だからどこに逃げても死の危険せいがある。どこかで捕まり、すぐ殺されたのならまだ慈悲がある。想像できる最大限の酷い殺され方をしたと言われても、まあそうだろう、と思える。

これは自分だけでもない。力をなくしたら二人いる娘も危ない。家族を殺されたテロ集団が、力をなくしたプーチンの家族を殺さないとどうして言えるのか?

酷いことをしてきたプーチンだからこそ、相手もそうするだろうと思うのです。そしてどんな酷い事をするかも知っているのです。そして本当にそうなる事でしょう。

 

クレムリンとは大統領官邸があるところだが、元の語源では城塞の事だそうです。

岡田斗司夫さんのネット動画で「本に、クレムリンとは敵国と民衆から守る城である、と書いてあって笑った」と言ってました。しかし今だと笑えませんね。

本当にプーチンクレムリンでしかもう生きられないのです。

そして本当に、敵国にもそうだが、民衆からも守る城塞がクレムリンなのです。

クレムリンから出たプーチンは全てが敵になる。どこにも逃げ道などないのです。世界中でクレムリンの中だけが安全だからです。

 

だからプーチンの抱いている恐怖心は幻ではない。

そこに待っている地獄もあの世にあるのではなく、クレムリンの外に現実に待ち構えているものなのです。

そう考えると、プーチンの行動も理解できる。

全ての敵が、つまり全ての人が自分に恐怖をいだき、そしてクレムリンから追い出さない事が叶うのなら、戦争くらいするのです。

クレムリンの外に地獄が待っているなら、核くらい使う。自分が地獄に行くくらいなら、他人を地獄に落としに行く。

それに地獄に行くくらいなら自殺もありえる。その自殺道具で核を使わないとどうして言えるのか?

 

プーチンが戦っているのは恐怖心です。

そしてその恐怖心は、今や幻ではない。

ヒトラーは幻の恐怖心と戦っていたが、プーチンは本当に待っている恐怖との戦いなのです。だから止められない。

プーチンの戦っているものは何か? を考えないと、やり方を間違えてしまいます。

間違えたら、そこには地獄が待っているかも知れないことを、理解しましょう。