号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

軍事行動は政治活動

マイケル・ハワード著「クラウゼヴィッツ」読みました。

もちろんクラウゼヴィッツの事についての本です。

特に有名な本「戦争論」に付いての事が多かったでしょうか?

 

(この本の事と、今現在22年2月17日のウクライナの状況についても書きます)

 

戦争論」が最後に書いた本であり、長く考えてた戦争についての最終的な答えがここに多く書いてあるので、クラウゼヴィッツを書こうと思ったら多くの事が「戦争論」の事になるのでしょう。

ただ書いている途中でクラウゼヴィッツは亡くなっています。

それに書いている途中でさえも、戦争についての新たな気づきや考えが生まれたりしてたようです。

だからか、そもそも「戦争論」自体がまとまってはいないので、分かりづらいようです。

その本の事でもあるのと、この本自体がまとまってないので、何を言いたいのか今一分かりづらい本でした。

 

しかもナポレオンがいた時代の人の本であり、しかも「戦争論」自体が有名な本です。

だから現在この本についての事は、戦争に詳しい人には分かっていて、影響されて出ている筈です。

つまり、今の時代にいると、この本自体を知らなくても、間接的にこの本の内容など知ってしまうという事です。

 

さてそれでも個人的に気になった所を書きます。

「戦争とは他の手段を交えた政治的交渉の継続である」とあります。

つまり戦争とは政治的な行動の一つだ、と言いたいのだと思います。

だから「最高時のレベルでは戦略と政治的手腕はほとんど区別がなくなる」ともあります。

 

言われみればその通りです。

個人的には、どうしても軍事行動と政治は別物と捉えてしまってました。

つまり私は「政治的なものから、軍事的なものに、しょうがなくなった時に移行する」様な感覚でいました。

しかし区別する線引きなどは無く、どこまで言っても「戦争は政治的なもの」と言う捉え方だ、と言いたいようです。

確かにそうですね。他国に向かい「何かをこうしろ」と言うのを聞かないので、武力で決着を付けようと言うのが戦争であり、聞けば戦争にならないものです。

つまり相手に言う事をきかせれるのなら脅しでもいい。

それに、戦争をする気が無いが、攻め込まれないようにする抑止力も同じです。

政治的に「もう石油を売らないぞ」という脅しも「攻め込むぞ」と言う脅しも、どっちも政治的な駆け引きの道具でしか無いという事です。

もっと言えば、戦わないで言う事を聞かせるのが一番の成功であり、これは政治力だと分かりやすいですね。

 

その事で更に本では「最もあざやかな勝利でも、それ自体が政治目的を達成するための手段にない場合は何の価値もない」と書いてあります。

まったくその通りです。

ただこれは「そりゃそうだろ」とは、皆思いますよね? 私も思います。

しかし怖いのは「感覚的に分からなる時がある」という事です。これを頭で強く意識してないと、見失うのが人です。

そんな訳ないという方は、二次大戦の日本を思い出しましょう。政治的な決着の仕方を何も考えないで、戦争に踏み切ったのが日本でした。

ナポレオン時代の頃の有名なこの本の事を、二次大戦の頃の日本人は忘れていたのです。しかもクラウゼヴィッツプロイセンの人なので、ドイツでしょ? 枢軸国側の昔の軍人の有名な本のことすら理解してなく戦争に踏み切ったのが日本であります。しかも政治家だけではなく、軍自体が知らなかった事になるのです。

まあ「愚かだ」と言ってしまえばそれまでですが、国を上げて感覚的に分からなくなるときもあるので注意が必要だ、と言う事です。特に日本人はね。

 

あと面白いのは最後の言葉です。

分かりにくいので私なりの解釈で書きます。

「国民と、軍人と、政治家が違う感覚で戦争を捉え、違う理由で戦争を行う。

この3つは一見違うように見えるが、どれも無視してはいけない。

どれかを無視すると、その考えは全く役に立たない」

と言うような事だと思います。

これも言われたら当たり前なのだけど、どうも忘れがちなので気を付けた方が良さそうです。

 

さてこの本に付いての気になった所はその位なのですが、個人的に思った事を書きます。

 

軍事行動は政治行動だ、と言う事なので、どういう政治的意味があるのか? を考える必要がある、という事です(これも、当たり前だ、と思ったでしょうけど)。

つまり今の時代は特に政治家が軍を動かせるので、その政治家のやりたい事を考える。

もっと言うと、その政治家の特はなにか? を考える。

 

(2022年2月17日現在、ウクライナにロシアが進行するのか? と言われてますね。権力者プーチンの個人的な利益はなにか? を考える必要があるという事です)

 

ただ昔と違うのは「他国に攻め入って、その国の土地を乗っ取ってしまう」と言う事はほぼ無理な時代になりました。

それこそナポレオンの時代には、既に無理だった事でしょう。

それでも一時的には出来たりします。しかし一時的にしか出来ないのは歴史が表してますね。

ソ連が分裂した時にウクライナも国として別れましたね。他の国、バルト三国なども別れた。

もし日本に何かあっても、急に九州が独立国を宣言することは無いでしょう。

この違いはなにか? 住んでいる人が「自分は違う国の人だ」と思っているという事ですね。

ただ元の本国と別れたいだけなら、バルト三国がそれぞれ3つに分かれる必要もないのですからね。

他にも二次大戦頃はアフリカとか南米とかまだ欧米が支配していた地域がありました。しかしその後それぞれの国に別れましたね。

つまり他国を感覚的に乗っ取る事も、同化させる事も難しい時代になったという事です。

もう無理な時代なのだと分かっていたら、日本もドイツも二次大戦で他国を自国にするなんてしなかったでしょうけど、そこも残念な国でした。

 

これは何かと言うと、今現在は、自国の政治家が他国と本気で向き合うことはない、という事です。

占領ではなく、融合を考えるのなら、他国を本気で考える必要がある。

しかしそれが無理なら、他国はどこまで言っても他国なのです。

例えとして、結婚相手なら本気で相手を考えるが、その気もないのならどこまで言っても赤の他人だ、と言う事です。

そう、政治家にとって他国はどうでも良いのです。

 

これらの事から考えるに、政治家や権力者にとって怖いのは自国民です。

今の時代、権力者が降ろされる、殺される可能性があるのは、自国民からしか無いと言う事です。

今は、隣国より明らかに弱い国であったとしても、隣国が攻めてきて亡ぼされる事はまずない。

昔ならその強い隣国を気にする必要があるが、今はそれより自国民の方が危険だと言う事です

だから政治家は自国民の動向を気にする必要があるし、大体はそこだけが大事なのです(大体は、とは、他国と上手く行かないと自国に損が生まれ、それで自国民に嫌われる、と言う間接的な影響はあると言う事です)。

 

(つまり、プーチンが気にしてるのは他国ではないと言う事です。他国はどうなっても構わない。

自国民がどう思うのか大事だと言うことであり、全てなのです。

プーチンが絶対権力を持っているように見えるが、本当はどうかは分からない。軍や他の権力者が全て敵に回ったらどうなるのか?

だから他の権力者の事も気にしている筈なのです。

今回の脅しがプーチンにとって利益があるのか? はもちろん、他の権力者のどこに利益があるのか? も大事であり、だから簡単には行動が読めないのです)

 

しかしです。それを覆す可能性を持っているのがアメリカです。

そしてそれを見誤ったのがイラクフセインなのです。

アメリカだけが、地球の裏側まで攻めて言って、最高権力者を捕まえ、処刑できるのです。

だからアメリカだけは無視できない。

 

(今回のウクライナ事情で、簡単には引けないのがアメリカです。

各国の最高位権力者は、自国民の権力者の動向が大事だ、と言いましたが、民主主義だと選挙があるので「国民感情」も権力を持っています。

アフガン撤退で国民感情を傷つけたバイデンはもう引けない。

だからバイデンは引けないだろうし、本気で来るだろうとロシアも分かる。

アメリカが本気なのではなく、NATOが本気なのではなく、バイデンが本気なのです。だからロシアも簡単には手を出せない。

ちなみにバイデンのアフガン撤退は、撤退が失敗だったのではなく、撤退の仕方が失敗でした。負けて逃げたかのような映像が流れてしまったからね)

 

クラウゼヴィッツの本に戻り、

軍事は政治の一環です。

だから全ての軍事行動は、政治活動としてみた方が、今の時代だと分かりやすそうですね。

 

(中国はメンツを気にする国です。その中国がオリンピック中ですね。だから20日まではロシアが動くわけがない。

今や中国が世界第二位の経済大国です。軍事もそうなってるか、遅かれ早かれそうなる事でしょう。

だからロシアが中国のご機嫌を気にする時代になったのです。もし隣国、中国が敵に回ったら、ウクライナどころの話では無いですからね。

ではオリンピック後どうなるのか? それは分からない。

ロシアの利益ではなく、プーチンと他の権力者の利益が何なのか? によると言う事なので、分からないのです。

保有国ロシアがアメリカと小競り合いになったとしても、攻め込まれる事はない。だから少しドンパチするかも知れない。

そうしたらロシアには利益はない。ただロシアの利益は関係がないのです。

でもロシアの不利益はロシアの権力者の不利益になりかねなく、そうすると結局プーチンの不利益になるので、まずしないのは間違いがない。

しかしイラクフセインみたく、それでも自分の利益になると思った時は、国が滅んでも攻めくるので、まだ分かりませんね。

今回の事でプーチンの動向一つで世界の株は乱高下しました。乱高下のタイミングを握っているのがプーチンなのだから、まあ儲けた事でしょう。本人ではなく、周りの人間かも知れませんけど。

それで満足してくれたら良いですけどね。しかしそうであってもいい迷惑ですね)

 

22年2月18日 追加

 

どうもウクライナでドンパチが少しあったようです。

ロシア軍その物ではないようですが、ロシアの支援は受けている分離独立派の人達ですね。

言い忘れてましたが、何かやれるとしたら盧溝橋事件のようなやり方だろうとは思ってました。

でも今更この分かりやすい既成事実作りなんてやるかな? とも思ってましたが、歴史は繰り返すですかね?

(盧溝橋事件はどっちの陰謀かは分かってないようですし、もしかしたら偶発的な事が発端かも知れませんが、それに乗じて走り出した、戦いたい奴らがいたと思っています)

ただこれがロシア事態のわざとな行動だったとしたら、まだ様子見でしょう。相手の出方を見てるだけですね。

ロシアにとってもアメリカにとっても、何もないと言うのはよろしくなくて「何か大きな問題が起きた」その後それを「我々は上手く解決した。私達の勝利だ」と言うのを作り出すのが、一番の願いでしょう。

でもロシアの本格介入になると、どちらにとっても引けない泥沼になりかねない。

なので、様子見でしょうね。双方どの程度の本気かを見ているのかな?

 

もう一つ考えられるのは、独立派が勝手に行動を起こす、というシナリオです。

そもそも盧溝橋事件がそうでした。その地にいた軍部の暴走ですね(軍部の暴走が始まりだが、その後政府側も乗っかったので、どっちもどっちではありますが)。

そしてここでクラウゼヴィッツの本の最後の言葉です。

「国民と軍と政府が、違うとらえ方をし、違う理由で戦争を行う」

私はここで書いておいて、早くも忘れてました。本当に気を付けるべきですね。

プーチンの思惑とウクライナ政府の思惑で動くが、他の国民(独立派の人々)と現地の軍隊(ウクライナ軍)は違う考えで勝手に動くと言う事です。

だから今回もニュースの様に彼らが勝手に行動した可能性もありますね。

ただ一番可能性が高いのは「プーチンが焚きつけた」のでしょうけど。

そうは言っても、思惑に反して、今後勝手に暴走する事態も考えられます。そうなった時にはもう誰にも手におえなくなる。

策士策に溺れるですね。

これも盧溝橋事件もそうですが、権力者が「自分が全てを仕切っている」と思っていても、国民も軍も違う考えで動くので、気が付いたら手に負えなくなる時もあります。

だからどこまで分かっていて、どこまで今回戦った人達を掌握してるのか? が鍵になりますね。

 

さてそして20日のあと、つまり月曜からの動向が注意ですね。

ロシア軍が動くとしたら(直接じゃないとしても)月曜からです。

週末に株価が下がったので、週明けは暴騰するのじゃ無いのか? と踏んでいます。

つまり月曜位は「実は平和に解決するかも?」と言う状況かも知れない。

また下げるのなら、その後ですね。「やっぱり戦争か?」となり、また暴落する事でしょう。

まあ、株買っている人は楽しくてしょうがないイベントでしょうね。

(これに乗じて世界中でバブル崩壊させればいいのに、と個人的には思っていますど。表向きの人では無く、実際の世界の権力者がね)

 

ただ結局は、誰にも未来予測は不可能です。プーチンとバイデンもです。

調子に乗って手におえなくなる前に、もうけりを付けとかないと、後で泣くことになる事でしょう。全ての人がね。

 

22年2月21日 月曜11:30頃 追加

 

株価上がりませんでしたね。プーチン買いかぶり過ぎでしたかね?

 

ベラルーシで核ミサイル部隊の演習とかしていて、挑発か脅しか? と思われていますが、これは恐怖心ですね。

なんでわざわざ今頃ベラルーシで、しかもミサイル演習なのか? と言う事です。

どう考えても弱いのはロシアです。だからこそ「うちには核があるんだぞ」と脅しておく必要がある。これだけが対抗できる武器だからです。

それをベラルーシに置く。流石に他国なので、何かあってもロシア本国より攻撃しにくいでしょ? そこに置くことにより面倒になりやすさをアピールする。

もちろんより西側に置く事もアピールです。

 

弱い犬ほどよく吠えるものです。

昔なら、吠えた犬が、しまいに噛みついて来て相手を殺すかもしれない。

しかし今は無理です。噛みついたら周りから袋叩きにあい、保健所で処分されるのが落ちです。

つまり今の犬は死にたくなければ吠える事しか出来ない。

吠えてるのはロシアです。弱いのです。

そして吠えて相手が萎縮してくれる事を願います。だから吠える訳ですが。

それで相手が萎縮しない時が「さあ困ったぞ」と言う時ですね。プーチンは困り始めてるかもしれない。

 

今回アメリカは「ロシアは攻撃するぞ」としつこく言います。

これは初めに言っておく事により、相手にそうさせない技ですね。「分かっているぞ」と言う事です。

でもそれだけでは無く、民衆に「ロシアは本気で攻撃するぞ」と印象を植え付けているのです。

しかし普通に考えれば、ロシア軍自体が進行してくる訳が無い。弱いからです。

だからロシアが進行しなければ「アメリカの勝利だ!」と思わせれる。

それには「ロシアが進行する」と思わせ「それを防いだ」と繋げる必要がある。

からしつこく「ロシアは進行する気だ」と言うのです。

 

今回金がかかっているのも大変なのもロシアです。それに被害が合っているのはウクライナです。

アメリカにとっては、このままが一番いいのです。世間の目がそっちに行くからです。

世界は景気後退局面ですね。どうしても景気が下がる頃です。

この時に世論がロシアに目が行く事は、アメリカにとって渡りに船です。

だからこの状態がいつまでも続いてほしい。アメリカには得しかない。

 

困ったのはロシアです。何か自分達にも「勝利した」と言う結果が欲しい。

たぶんプーチンは調子に乗ったのでしょう。クリミアでも東部自治にも成功して、次も上手く行く筈だと調子に乗った。

しかしバイデンは引けない。しかも現状維持でかまわない。

金かけて出て行ったプーチンは、何かを得なければいけない。だから焦るのはプーチン側です。

一番はウクライナ国内で欧米派の政治家が弱まり、NATO加盟を取りやめてくれれば成功でしょう。しかしウクライナ国内次第で、他人次第です。

他人次第の事に勝負に出る時は、戦略として失敗です。結局はどうなるか等分からないからです。二次大戦時、ドイツが調子が良いので「バスに乗り遅れるな」と日本が戦争を始めたようなものです。ドイツの調子次第に乗っかった日本が愚かでした。

 

ただ結局はロシア国内の権力者の気持がどうなのか? 次第です。

この今の状態でも「ロシア側に得があった」と言う専門家もいます。

もし本当にそうロシア側の権力者が思ってくれるのなら、プーチンも止めれる。

しかしそうでも無いのなら、ドツボにはまったのはプーチンの方です。

 

アメリカは今のまま、これからも、いつまでも、ウクライナで小競り合いをしてほしいのです。

ヨーロッパの一部は困るし、ウクライナは悲惨ですが、アメリカはかまわない。

 

さて、プーチンに何か手があるとしたら、もう一度株価が上がると思ってました。

つまり「平和裏に決着がつくのか?」と皆を思わすだろうと思ったのです。

本当に何かあるとしたらその後です。

一度安心させる為と「ロシアは平和を望んでいたのだ」と思わせる必要があるからです。

しかしズブズブ悪くなっていくのだとしたら、それは「もう手が無い」と言う証拠です。

やりようがあれば「振ってくる」のが定石だからです。振ってもこれ無いのは、振る袖も無いのです。

だから買いかぶりすぎたかな? と私は思いました。

 

ただ、まだ分かりませんね。

分かりませんが私には「追い詰められたのはプーチン側」に見えます。