アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」第一話だけ見ました。
まあ、名前が出て来るアニメなので、どこかで見ないとなあ、とは思ってました。
なるほどね。ウケる訳ですね。オタクの理想をてんこ盛りでしたね。
そして私が好きなアニメ「シュタインズ・ゲート」の何が良かったのかがこれで分かってきたで、その事についても書きます。
２００６年の作品だと言うのに、妙に映像が綺麗で驚きますね。
「ああこれが京アニか」と噂になる訳が分かりました。この頃なら特に衝撃だった事でしょう。
物語のないイラストでも見れる物になるのだから、アニメでも綺麗な映像と言うだけで、思ったよりずっと印象が良くなるものですね。
このアニメ、映像が汚ければ、私には見てられない物になりそうでした。しかし見てられる。それだけで映像って大事ですね。
ただ綺麗な映像だけでなく、見せ方も凝ってたと思います。
アニメの見せ方の未来を見せたのだから、京アニの功績は大きいのでしょう。
他のアニメでも金をかけて良い物を作り、世界にでも売って元を取れるものに出来たらいいのですが、全てのアニメでこのクオリティは無理なのですかね？
この主人公はキョンなのですかね？ 私の世代だと「うる星やつら」のアニメの方の「メガネ」を思い出します。確かこの製作者たちも「うる星」は気にしてたらしいので、影響はあったのかもしれませんね。この辺から現代的にキャラを調整したのかな？
この主人公いわゆる「やれやれ系」ですね。この気どっていて、かっこつけていて、ちょっと高い所から世界を見ている気になっている男、オタクの理想そのものですね。
それが巻き込まれるのです。自分は嫌なのに巻き込まれ「しょうがないなあ」と付き合う事になる。まさにオタクが夢見る理想郷です。
しかもなぜか学校生活の中での飛び切りの美人が自分を頼るのです。認められ頼られたいし、自分からだと嫌われそうだから相手から来てほしい。まさにオタクの桃源郷ですね。
この作り。そう言えば「氷菓」もそうですね。だからあっちもオタクの理想なので、ウケるのは間違いがないのです。
ハルヒの方はもっと分かりやすく、種類の違う美人が一話から数人出て来る。そして勝手に主人公の周りに集まってくるのです。「やれやれ、まったく、しょうがないなあ」と言う感じの主人公。これですね。これが皆が夢見るシチュエーションです。
暇であきらめていた学園生活。昔は夢を見ていたが、何も起きないのだと分かった高校生の頃から始まります。ここでオタク心にドップリ重ねて来る訳です。
だけど高校で変わった美人に合う。しかも自分が諦めたくだらない夢を持っている美人。オタクは自分の趣味を認めてくれる相手が欲しいのです。それが女ならなお更いい。それに仲間が欲しい。自分より更に超えている変わった美人が相手からやってきて、自分を巻き込み頼り始めるのです。
しかもこの美人、変わり過ぎていて周りから浮いている。だから自分でも間に入れる可能性が見えるのです。しかも自分の子供の頃の夢を持っているのだから、自分とは話が合うと言う夢のシチュエーションです。
美人で頭がよく、そして変わり者で他の男は近づかず、自分とは話が合う子。
そして行動力があり、自分がやりたいのにやれない事を、自分の代わりに勝手にやってくれるドラえもんです。未来の道具並みに夢がてんこ盛りです。
これが昔なら「うる星やつら」みたく宇宙人が出て来る。宇宙時位が来ないと、ウソの事など起きないと思ってる頃です。
それが馬鹿らしく思えてきた現代。そこでもっと普通で宇宙人も未来人も来ない高校生で、夢の様なオタク人生を過ごせる環境を思い描くとすれば「ハルヒ」になるのでしょう。
他に、もう少し前から「ハーレム物」もあります。これもご都合主義で、意味もなくなぜか皆にもてる主人公を描くものです。
そしてハルヒの頃のオタクは、こっちももう信じられないのです。
自分は世界を知っている頭のいい奴だ。だから宇宙人もいないし、意味もなくもてたりもしない。そんな事は知っている、と思っているオタク。その化身がキョンで、だから初めからその事を話し始める。
だから現代では「ハルヒ」なのでしょう。オレオレ詐欺に皆がひっかからなくなった頃の詐欺師が、「オレオレ詐欺師に騙されない様に」と言いながら警官のふりをして新たな詐欺をしてくるようなものですね。
まあ、そうは言っても「ハルヒ」もそんな悪くは無い事は知っています。
全ての物語なんか、ありもしない夢を見させるものです。
ハードボイルドでもミステリーでも恋愛ドラマでも、ちゃんとした大人が見る映画でも中身は「ありもしない夢を見させる」物です。だから本質は変わらない。
しかし「ハルヒ」の方には問題があるとしたら、それはこの事を知っていて見てるのか？ です。
なまじ宇宙人もハーレムもないだけに、感覚が鈍るオタクもいるかも知れないのです。
女の人の「王子様問題」と同じですね。いない者を追いかけてしまい、年を取って後悔する奴です。
この「ちょっと現実っぽいから信じられそうな気がする幻アニメ」が現在の麻薬アニメなのでしょうけど、まあ、ほどほどなら良いと思います。たしなむ程度です。
しかし最近では流行っていますね。別に男だけではなく女にもです。
たまたま深夜、数話テレビで見ただけですが「君に届け」がそうでしたね。ロミオとジュリエット、ベルばら、花男、みたいな劇的な事もなく、現実にありそうな日常での夢を見させるアニメでした（数話だけなので間違ってたらごめんなさい）。
これが現在の夢なのですね。ちょっと大丈夫かな？ とは思います。現実過ぎるのが「夢」な時代だからです。
さて、これを見て「シュタインズ・ゲート」の良さが分かってきたので、書こうと思います。
「シュタインズ・ゲート」も同じくオタクの理想郷です。このアニメ（元はゲーム）は「ハルヒ」より後なので影響があるかもしれませんね。「コードギアス」とかの影響もあるでしょう。
しかし見てた時から、新しい事は何もない物語なのは分かってました。
でもだからこそ「何も新しい事が無くてもここまでの作品は出来る」と言う証拠になったので、私としては嬉しかったわけです。まだ面白い物語を見れる可能性があると言う事だからです。
しかし私は「シュタインズゲート」は気に入り、「氷菓」は気に入らない。だとすれば「ハルヒ」も気に知らない事でしょう（まだ一話なので分かりませんが）。
これは何か？
「シュタインズ・ゲート」の主人公、岡部は行動力があるのです。自分から率先して何かをやろうとする。そして仲間思いです。しかも悩み、間違え、怯え、だけど前に進むわけです。
それがなんなのか？ ただ良いキャラ設定だ、と言う事でもないのです。
この男は「もてる」のです。嘘ではない。
「氷菓」も「ハルヒ」も、主人公はもてないし、相手にもされない筈です。
「氷菓」の男は頭がいいらしいので、一時期は相手にされるだろうけど、行動力が無い奴は何時かは女に見放されます。まあそれでも、運よく中身のない美人と仲良くやれるという、ありえない「夢」を見させるアニメだと言う事も言えますが。
問題は「王子様問題」と同じで、オタクらを惑わせるのが良くない。
いつの日か、運よく、美人が相手からやってくる、と言う嘘を信じ込ませようとする物語です。カモがネギを背負って君の前にやってくるぞ！ と言う物語です。
なら宇宙人の方がまだよくないですかね？ 嘘だと分かるので。
それに比べ「シュタインズ・ゲート」の岡部は可能性がある。
まあ、あんな劇的な事は起きないだろうけど、行動力があり自分から何かをやる男は、何かをやり遂げる可能性はある。少なくとも魅力的には見える。だから近くに女がいたとしたら（美人はそうそういないかもしれないけど）、もてる気がします。
つまり岡部の生き方の真似は出来るだろうし、それを実践すれば確かに仲間が増えるし、しかももてる可能性があるのです。
だからオタクには、こっちの方が絶対ためになる。実世界でためになるのは「シュタインズ・ゲート」の方です。
逆に「ハルヒ」や「氷菓」に惑わされる事は、「いつか白馬に乗った王子様が現れる」と思ってる女子と同じ位に痛い事なのです。間違えない様にしましょう。
もう一度言いますが、嘘だと分かっていて「ハルヒ」や「氷菓」を見る事は良いと思います。
ただこれらのアニメの主人公みたく「やれやれ系」がもてるとか、格好がいい、と思ったら間違いです。
あの行動で見た目が全盛期のキムタク並みにイケメンなら、もてるでしょう。
しかし一般人が「やれやれ系」でも、ただの気持ち悪い奴にしか見えない事に気が付きましょう。
オタクが目指すのは岡部の方です。
