号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

一分の物語

ポカリスエットのCM「でも君が見えた」編の事を書きます。

 

放送されてから一か月くらい経ちました。なぜ今頃かと言うと、書くのを忘れてました。Youtubeに出てるので、もし見て無い方はみて下さい。

 

とにかく良く出来てますね。

 

まず廊下を歩くヒロイン。学校の廊下を、皆と同じに向こう向きに歩いてます。ここの絵が少し暗い。

そこでゆっくり後ろを振り向く。

そして走り出します。

皆とは違う方向に走り始める。前から風が吹き、走りにくい地面を乗り越えて走ります。

地面が波打つので、廊下の端をどうするか問題になる筈ですが、廊下の壁を垂らした布か何かに描く事で乗り越えてる。

そして垂らした布だからこそ風に揺れる。だから風の存在がはっきり見える。

風景も揺れる。安定しない凸凹が向かってくる地面に加え、定まらない壁で、不安定で予測できない世界に立ち向かう事を強く表せます。

あえて皆と違う方向に、向かい風の中走って行くのです。

そして学校からの出口です。ここから外に向かう事を表す。

始めは見てる人に向かい走って行く。私達からは見えない先に向かい走って行く事で、先が分からない方向に向かっている事を表す。

先が見えないので、物語としても盛り上がります。

こっちに走る事でヒロインの顔も見えて共感も出来る。

そして十分共感して見てる人の気持が乗れた所で、方向を変える。

そして今度は奥に走って行くのです。共感出来ていて自分と重なった後だからこそ、奥に走る事が自分が走っている感じになるのです。

大人にとっては自分の子供として、背中を押している気分になれる。

外には藤の花です。花言葉は「優しさ」「歓迎」「決して離れない」です。

困難を乗り越え外を走り、舞台にたどり着きます。

ここで友達に会う。この友達に会いに来たとも言えます。だから「君が見えた」なのでしょう。

ここで男がいると「ただ好きな異性に会いに来た」となってしまうので、友達としての女の子がいるしかない訳です。

そしてここに友達がいないと、ただ皆と違う方向に勝手に走って行った身勝手に取られてしまう。だからここに友達がいないとダメなのです。

走って行った向こうがおかしく無かれば、皆と違う方向でも、同じ感性を持った友達に会えると言ってるのです。

そして舞台を見てくれる皆がいます。これも誰もいないと、身勝手で寂しい行動に思えるから、いる必要があるのです。

そしてまだ向こうに走って行きます。

私達も知らない、誰も知らない見えない未来に走って行くのです。

 

とても良く出来てますね。

高々一分でも物語が出来上がってます。見事です。

 

ヒロインがオーデションで選ばれた新人みたいですね。

知らない普通に見える子が、何かに挑んでいくように見えるので感動します。

それにセットが主役でもあるので、ヒロインは始めから名の知れた子じゃない方が、見てほしいものとのバランスが取れるのです。

そして、名も知れない子が、成功して舞台に立つ話と重ねる事が出来ます。

それに多分ですが、ギャラが安いのでしょう。セットに金がかかるので、人にはかけてられない。

ポカリスエットのCMなので金がかけれた筈です。しかしそこも新人を使いバランスを取っている。

新人を使う事さえも、内容と合わせている。

セットで金を使う事も、最近はCG満載だからこそ、あえてそこを外す事で注目を集めれる。

そして困難に立ち向かうと言うメッセージとも重ねる事が出来ます。

ポカリのCMは昔から子供向けです。高校生位から飲むのであっている。

しかも高校生位から飲めば、大人になっても飲んでくれるので、そこを狙うのもあってるのです。

そして若さも出す。だから大人も若さを気にして飲む。スポーツドリンクだからこそ若さが必要なのです。

しかし子供らしさは消す。ちゃっちさは出さない様に気を付ける。

これらポカリのCMの出来の良さに加え、新たな良さも加わった良いCMでした。

拍手満載ですね。