「論破」について書きます。
その前に大前提として
「論破」と言う言葉は、勝ち負けの問題にしてるのであまり良い事ではありません。
勝ち負けよりも、皆で知識と意見を出し合い、より良い解決策を見付ける様に話し合うべきです。
何気にYoutubeを見ていて「アリストテレス大学」と言うチャンネルの中で「論破に必要な条件」が書いてありました。
私もなんとなくは思っていたのですが、まとめられていて分かりやすかったので良かったです。
ここで、論破の条件として二つのっていました。
1、相手に知的誠実さがある。
2、勝敗を判断する人が周りにいる。
だそうです。
私もそうだと思います。
「急に誰かを殴ったら、その人は怒る」と言う話の時に「それ何処かの論文に書いてありますか?」「試してみましたか?」「それはあなたの感想ですよね?」と言われてら?
たぶんほぼ100%の人が、この場合はただの経験則からの感想だと思います。
ある程度は一般常識がある前提で話し合わないと、話が終わらないし、たぶんできません。
「人が嫌がるからやってはダメ」とか「それだと社会がもたない」「人類がもたない」といっても「だからそれが何の意味があるのか? 社会や人類がもち、人が嫌がるのが悪い理由は?」と言う人とは話すだけ無駄です。例えそれがその人の本心であっても、話すだけ無駄な人もいるのです。
だから相手が「常識が無い人」「分かっているが勝つ為に常識を曲げる人」等の、馬鹿か誠実さが無い人では話にならないと言う事です。
だからこそ、勝敗を判断する人が周りに必要になると言う事です。
ちなみに「それはあなたの感想ですよね?」は万能ではなりません。
全ての内容に元の論文を探す事はまず無理でしょう。ニュース番組で「人を殺してはいけない」と言う内容で「あなたの感想ですよね?」から討論はしてられない。
だから、上げ足を取るだけの理由でこの言葉を使う人がいたら、その人は信用が出来ない人か、馬鹿だと思った方が良いでしょう。
論文等の元のソースを提示した方が良いのは間違いがないです。
しかし論文自体が万能ではない。
右派を左派、どっちでも「こっちの方が良いぞ」と言う論文は世界中に沢山ある事でしょう。
だからその中の左派はいいぞと言う論文をたくさん紹介しても、反論も沢山あると言う事です。
世界中にある論文で、マイナーな内容のものは特に、それがあってるのか? 自体が問題にもなります。だから簡単な話ではない。
でも何も無いよりは何かの論文でも出した人の方が、誠実だとは言える事でしょう。
この論文提出は結局の所「正解の確率を上げる」と言う事です。
沢山の人が、沢山の実験などから出した答えの方が「正解率が上がる」と言う事です。
東浩紀さんとひろゆきさんが話した内容で「反復可能な知」と言うのがありました。
これは科学などで「再現性」があるかどうか? と言う事ですね。
つまり「同じ状態で同じ事をしたら、同じ結果が必ず出る」のか? と言う話です。「地球上なら、手から何かを落とせば、必ず下に落ちる」と言う奴です。
(ここで、いや下から突風がふいたら落ちない、と言う人はさっき言った話しに値しない人です。そんな事で良いのならどんな理屈でも言えるからで、それを言ってたら話にならないからです。今どの条件が言うに値するかが理解してない人だからです)
そこで「歴史から学んだり」「経験から学んだり」「それらから、誰かが頭の中でまとめた内容(嘘をつくと信用が無くなるとか)」は全て、「反復可能な知」では無いのだと分かる訳です。
「歴史に学ぶ」、信長は明智の謀反で死にました。信長の横暴な態度が悪かったので、横暴な態度はいけない、等と考えたとしても、それは再現して確認が出来ません。もしかしたら優しい信長でも明智は謀反を起こしてかもしれなじゃないですか? だからそれは誰にも分からない。
「経験に学ぶ」、一人が人生で経験できる事は少ないので、これは限度がある。だからこういう人と結婚したら失敗した、と言うのがあったとしても、それがあってるかは分からない。「大学に行ったからよかった」とか「お笑いを目指して良かった」とか「ラーメン屋で成功した」とか、それはその人の細かな周りに事情が違うので、一人の経験からでは参考になりません。
「それらから、だれかがまとめた内容」はそもそもこれらから来てるので、それがあってるかは誰にも分からないし、そこにまとめた人の考えや感想が入るので、なお更複雑になり、再現性は無くなります。
ではこれらが意味が無いのか?
いや皆「歴史から学ぶ」や「経験から学ぶ」が意味が無いとは思って無いでしょう。
つまり再現性が無いからと言って、価値が無いとか、意味が無いとは誰も思ってはない筈です。
ではこの多くの人が思っている「歴史から学ぶ」「経験から学ぶ」が意味ある、と言う考えはどこから来てるのか?
これは「その人達の経験から判断している」だけですね。
「どうもこれらはあってるらしいぞ」と人生の中で学んできただけです。それらがあってると言う論文を見た人はまずいない筈ですね。
つまりこれもただ「その人の感想」なのです。
「歴史から学ぶ」も「経験から学ぶ」も「これらから来た情報をまとめた、他の人の考えを聞く」にしても、再現性が無いのだから絶対では無いですね。
でも「確率が上がる」のは間違って無いと思っている。
「確率が上がる」と経験で知っている。
これも自分の経験と、多くの人がそうだと言う事から「確率が上がる」と言う事は「当たっている可能性が高い」と判断してるのです。
つまり「反復不可能な知」や「再現性が無い事」であっても「可能性が高いだろう」と言う事はあると言う事です。
これは「単純に多くの人が言っている」「多くのネットで書いてある」「多くの本で書いてある」等の事から確率を各々が判断しているだけですね。
そしてこれらは再現性が無いのだから、どこまで行っても「確率が上がって行く」だけのものであり、絶対では無いのです。
論破をしようとする人、つまり勝とうとする人は「絶対ではない事の隙間」付いて来ます。
でも科学的な再現が出来るもの以外は、全てが絶対ではないので、反論は出来るのです。
絶対かを聞いてきて「そうじゃないなら間違いだ」と言うのなら、話にならない。
なんでもよければ、反論などいくらでも出来る。
だから、その反論の理由で可能性が低い事を言う人は、信用が出来ないと判断するべきなのです。
ちなみに、ひろゆきさんはこの隙間を付いてきます。
ただこの人は感覚的に分かっていて、その可能性が低い隙間は(あまり)付いてきません。それではただの揚げ足取りだと、感覚的に分かっているのでしょう。
もっとちなみに、この人はわざとふっかける事があります。
まずは番組的に盛り上がると思うのでしょう。
それとその事で「相手はなんて答えるのかな?」と試しているのでしょう。そしてそこから知識を得ようとする人です。
なので、たまにひろゆきさんは訳の分からない事も言ってますが、それを文面通りに受け取らない方が良いと思います。わざとな時もあると言う事です。
あくまで私の考えでは、このひろゆきさんの考えはあまり好きではない。
これは私は嘘だと思っているからです。この人は普通ならアクセルを踏まない所で、わざと踏んでくるタイプです。
私なら、普通はブレーキを踏むはずの所で踏まない、と言う程度で止めときます。
このわざとの行動は面白いけど、それだと嘘つきだと思われてしまいます。信用が出来ない人だと思われる。もしくは馬鹿だと思われる。だから気を付けるべきです。
番組などでの理想は、そういう「ふっかける役だと皆が認識している人」がいる方が良いでしょうね。
まあひろゆきさんは分かっていて、自分がその役だと思っているだけでしょうけど、人気が出て来た今後は、違う専用の人が必要でしょうね。
つまり、演出どまりで嘘だと思われないバランスが必要なのだけど、このバランスは個々と言うよりは、番組全体で取るべきだと言う事です。
そして追加として、「科学は再現性がある」としても、それを自分で再現して試す人に関係がある話です。
「だれかが再現して見せた」と言う事は、結局その人の言葉を信用するのか? と言う話になります。
実験して試した人が沢山いればまず間違いがない。しかしそれが一人なら? それを信用するのか? と言う問題です。
その他の例えで言えば、「地球は丸い」と言う事を「地球は平らだ」と言う事にしたいと北朝鮮で思ったとする。出入国制限されていて、ネットや本の内容も制限されている。そして学校で先生も皆「平らだ」と言う。それが10年も続けば平らだと信じる子供が半数以上になる事でしょう。
なら「地球は丸い」と言う事が科学で証明出来ようが、自分自身で証明しない人には「誰かがそう言った」と言う事を信用するか、しないのか? と言う問題になるのです。
今まで嘘を言った事が無い親や先生がそう言った、となればあってる可能性は高くなる事でしょう。しかし可能性が高くなるだけです。それでも地球は丸いのです。
だから自分で実験でもしないのなら、再現性がある科学であったとしても、結局は「可能性の問題」になるのです。
だからほとんどの事は「可能性の問題」なのです。
言い換えれば「確率の問題」です。
そして「量の問題」です。
なので一般常識が大事になってきます。
一般常識は、あってる可能性が高いと、皆が思っている可能性が高いものです。
一般常識は経験上、本やネットや誰かの情報やテレビ等で多くの人が言っているこれらは可能性が高いだろう、と思ってるものなのです。
ほぼ可能性の問題なのだから、一般常識と言う完璧でないものが役に立つのです。
絶対などはまずない。
論破など大した事ではないのです。
その中で、皆でより高い可能性を求めて行く事が、話し合う事なのです。