号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

女は監察課

山の子供が夢を見る。

少女は夢を見る。遠くに見える街を見て、そこに何が起きるのだろうと、夢を見る。

少年は夢を見る。空を見て、その向こうには見た事もない何が待ってるのだろうと、夢をみる。

 

アニメ「ACCA13区監察課」感想です。ネタバレです。

 

私は読書家では無い。小説はたまにミステリーを見る位です。

そして外国産のミステリーを読みます。外国からわざわざ翻訳するのだから、ある程度のレベル以上なのだろうと思うからです。

それに外人は日本人とは感覚が違います。だから予測できず面白いですね。

逆に日本産は手の届くもので出来てる様に感じます。これは良し悪しあるでしょうけど、私は現実逃避で小説を読むので、感覚が違う外国産のミステリーが面白いのです。

価値観や見てる物が違う人が作った物を見ると、自分の当たり前が実は当たり前の事ではなく、日頃見る物の影響を受けているに過ぎないのだと分かります。面白いですね。

 

アニメ「ACCA13区監察課」の原作漫画は、オノ・ナツメさんと言う女性だそうですね。少女漫画に近い作りな気がします。

だから日頃見ている、男が作る男の物語とは感覚が違う。

そして日頃見ている男のアニメが実は当たり前では無く、かなり他の男の作品に流され出来ているに過ぎないのだと分かる訳です。

所々に男と女の感覚の違いが分かり、それぞれの特徴が見えて来る訳です。

 

まず第一に、分かりやすく食べ物がよく出てきます。しかも甘いものが出てきます。

美味しんぼ」みたく食べ物が主な物語ならありますが、物語上大事でもない所に食べ物は、男の物語には出てきませんね。

ちなみに、食べ物が縁で男同士が仲良くなったりする物語でしたが、まあ本当なら無いですね。女の感覚のまま男に当てはめています。これは男の物語でもよくやる勘違いですね。

 

第二に、煙草を吸いますね。昔の男は煙草を吸う姿に格好良さを感じます。女の方は仕草に魅力を感じますね。

ただ男の方は煙草に大人の格好良さを感じていたのが、段々なくなってきています。

煙草は体に悪いし、中毒になるし、火も使うから危ないし、お金もかかるので子供に禁止されてます。だから大人が吸う。大人にあこがれた子供が煙草にもあこがれるのでしょう。あんなもの始めの一本目からうまくてやまれない人はいない筈です。つまり格好つけて吸い続けて、中毒になり止めれなくなるのです。なので煙草は大人の象徴でも大人の魅力でもなく、ただの大人のおしゃぶりです。イメージ戦略で格好良く見えているだけで、格好いいなんて思ってる奴は、流されているだけですね。

私は高校時代に皆が煙草を吸っていたので、イメージとしては高校生が吸うものです。だから大人になっても吸っている人を見ると、高校生に見えます。早く大人になってもらいたいですね。

女の方はどうなんでしょうね? このアニメを見る感じでは残っているのでしょうかね?

仕草に魅力を感じる筈と言いましたが、正確には魅力的に感じるのは、吸ってる時の手かもしれません。

「ジェイウォーク」の歌「何も言えなくて…夏」の歌詞で「綺麗な指してたんだね、知らなかったよ」とあります。これが端的に表しています。歌の様に結婚して離婚して逃げられて、初めて元妻の指が綺麗だと、今更気が付くのが男ですね。

女はすぐに「手が綺麗」とか「指が綺麗」とか言います。これは男には分からない感覚です。だから男が煙草を吸うのも、手を見てるのでしょう。

女の人も昨今の男の様に煙草自体には魅力を感じなくなってきていても、手を見ているので、煙草を吸う仕草に魅力が残るのかもしれませんね。

 

第三に、女の作家は内面的な勢力争いや、内に秘めた感情を書きたがる気がします。このアニメでもそうですね。

女の人は日々他の女の人と、どっちが上かとマウントの取り合いですね。常日頃の身近な所が戦場なのでしょう。

「男は敷居を跨げば七人の敵あり」とことわざにあります。つまり外が戦場です。家は休む所です。だから家ではそっとしておいてあげてくださいね。

女の人はしゃべったりしてストレス解消しますが、男は休み中なのでしゃべっても食べてもストレス解消にならない時があります。その時は独りじっと休みたいのでしょう。少し放って置いた方が良い時間があるのです。あまりほったらかしにしておくのも、よくない考えが浮かぶので、良くないのですが、奥さんは旦那を少しは独りにしておきましょうね。

身内や近くの知り合い等との精神的な小競り合い、これを日々してるから、女の人は物語をこうしがちなのでしょう。

 

ちなみに、家で休む分、男の方が瞬発力があると私は思っています。

一般社会において、おしゃべりも女の方が得意に見えますが、政治家も弁護士もお笑いも男の方が優れている人が多いと思います。

そして精神的なマウントの取り合いも、最終的には男の方が得意だと思っています(もちろん個人差が大きいので、あくまで優れた人の数で見るとです)。

ただ日頃からやってたのではない事を、大人になり始めて強くなった男は、偏りがちです。自分の利益の為に相手より有利に立ちたくて戦ってきた筈なのに、いつの間にか勝つ事が目標になってしまいがちです。勝っても相手を滅ぼしたら意味が無いのに、滅ぼそうとしてしまうと言う事です。

女の人はなれているからか、滅ぼす前に止めますね。少なくともマウントを取ろうとしてる時はそうです。(そうじゃなくて消そうとしてる時もありまして、その時は滅ぼそうとしますけどね。味方だったのを敵だと決め、首を切るのはいつも女です)

宗教が昔から身近にあるアメリカなどでも、カルト教団もたまに出ます。しかしカルト教団集団自殺をしたりしますが、社会とは戦わない。社会に戦いを挑んだのは日本のカルト教団ですね。しかも毒ガスでです。宗教が身近では無い国だからこそ、偏った現象が起きる。皆が宗教になれて無いからです。

そして身内内でのマウントの取り合いに成れている女の人は、男の様に間違って滅ぼさず、有利になった時点で終わらせられる可能性が高いのです。

このアニメでは、終わらせるのがモーヴ本部長と言う女の人だと言うのが、良く出来ている訳です。皆はクーデターをしたいわけでは無く、国を守りたいのだと言う事を、本部長は間違わなかったのです。

たぶん男はどこかでクーデター自体が目標になってしまう生き物なのです。

原作者が女の人だからか、物語を終わらせるのは男ではなく女だと、なんとなく分かったのでは無いでしょうか?

 

第四に、妹ロッタのあつかいが雑ですね。

可愛くて、姫の子供で、悪くない性格です。

原作者がこのキャラの事が本当にどうでもいいのだなと分かる物語です。興味が無いのです。

ただこんなキャラも必要だと思い、出しているだけですね。

男が描くともっと魅力的にしますね。もっといい所を描こうとする。それをしないのは女の人だからでしょう。

しかしだからこそ、男の物語に出て来るヒロイン的な子の描き方は、かなり偏った作りなのだと気が付きます。面白いですね。

 

第五に、男の物語でも気に入った女キャラに男はできません。ナウシカに男は出来ないのです。

このアニメでも最後ジーンとニーノに女が出来ませんね。男の友情で終わります。女の作者っぽいですね。

アメリカの映画ではありえません。男にも女にも相手が出来て終わります。

日本のアニメは良くも悪くも相変わらずですね。作者が男でも女でも、恋人が出来なくて終わらせる。こじらせてますね。これはこれで面白い文化ではありますけどね。

 

等の、男の物語だと当たり前になってる所が、このアニメでは違う訳です。

まあ、少女漫画でもそうでしょうね。

男の当たり前は、当たり前では無い。それに気が付く物語でした。

 

さて最後に少し物語の内容についても言います。

面白く見れる内容でしたね。盛り上げ方が分かっている作りでした。

ちゃんと後に繋がる様に伏線を出しといて回収しますね。好印象です。

ただ細かな雑な所もありましたね。命を狙われる所がとにかく雑です。権力者からの依頼で何人かの人に命を狙われる。なら一度防げてもずっと危ないでしょ? なのにあっけらかんとロッタは普通に生きて行きますね。ちょっと雑過ぎます。

親の死も殺されたのかと思ってたら、そうでもなさそうでした。

グロッシュラーも今一どんな性格だったのか分からない。どうも物語上その場限りで性格を付けてる感じでした。ただ情けない奴だったような印象ですね。

金髪で髭の課長が、姫に付いて行った御付きの奴だったのだろうけど、それが最後の謎になってる意味も分からないですね。グロッシュラーが付き人だったでいいんじゃないのか? と思わせる作りでした。

最後部長が全て持っていく。ジーンが目立ちませんね。それでいいのでしょうか? どうも作者にとって弟の様な感じだったでは無いでしょうか? 「弟よ、そこで見ておけ。お姉さんがけりを付けるから」と部長が言っている……ではなく、作者が言ってるかの様な作りでしたね。

ご都合主義ですね。最後綺麗に国がまとまり過ぎる。これも人は色々あると作者は思っているし分かっているが(だから一区は国から離れる)、国にはそこまで関心が無いのでしょう。関心が無いから嘘っぽく綺麗に収まっても良いのです。

ロッタは命を狙われたのに伯母を許す。「ロッタはやさしいなあ」ではなく、ロッタに関心が無いのです。作者がです。

 

毎回言いますが、せっかく良さそうな内容なので、ここから直して良くしてほしかったですね。細かな所を少し直すだけですからね。

アニメ化の時に原作者が直す機会があったらよかったと思います。

そう言う風な風潮にならないものですかね?