書籍「SAVE THE CAT の法則」 ブレイク・シュナイダー著
の感想です。脚本術の本です。
私は素人です。ではなぜ素人が物語の文句を言ってるのか?
プロの方が物語の悪い所も含め言ってくれれば、私はあえて言いません。
しかし同業者はつぶし合いになるので言わないですね。堂々とつぶし合っていているのは政治家位です(これはやり過ぎな気がしますけど)。
だからどうしてもハッキリ文句を言うのは素人か評論家になりますね。そして評論家もなかなか言えない訳です。試写会とか呼んでもらえなくなりますからね。
それに私の言ってる事があってようが間違ってようが、それが考える元になれば良いと思い言う事にしています。
しかしそれでも何も知らなすぎるのはいい加減すぎると思い、脚本の基本位読んでみようかと思った次第です。
この本「SAVE THE CAT の法則」は元のアメリカでも、日本でも売れてるようですね。そしてプロが書いています。この人は映画の脚本を主に書いてる人みたいです。
そしてこの本を読む気になったのは、この人は「売れる映画の脚本を書くべきだ」と言うスタンスだと言うからです。
売れるのは基本です。なぜなら売れなくさせるのは簡単ですからね。少なくとも最低限、赤字にならない位には売れるようにするべきです。
しかし、この本が売れている? 本当でしょうか? なぜならこの本の書いてある事を多くの人が学べば、最低限面白くしようとしている物語が多くなるはずです(面白くなってるのではなく、せめて面白くあろうと頑張っている様には見えると言う事です)。
つまりこの本は良く出来てます。そして世の中にはつまらない物語が多すぎます。
この本は映画の脚本のノウハウですが、映画じゃなくても物語の面白くなるヒントが書いてあります。理由も書いてあります。
すぐ読める本なので、物語を書く人はこの本位必読では無いでしょうか?
何か退屈になる所、足りない所等を補ってくれるヒントが書いてあるからです。
何か足りないと思ったら、この本と照らし合わせて一度は考えてみるべきです。そしてそれが「やはりこの物語にはいらないな」と思えば入れなければいいだけです。しかし足りなさそうな所でこの本の事を照らし合わせるので、大体は新たに思いついた方が正解だと思いますけけどね。
この本に書いてある事は王道です。それを論理的、かつ実践的にまとめたものです。
王道とは定石です。歴史的に多くの人が、それが良いと思い時間をかけて決まってきたものが定石です。なので定石を覆す時はよほどの時です。自分は定石や常識を覆せると思ってる人は、ほぼ勘違いです。小数点以下を四捨五入すれば100パーセント勘違いです。
もちろん例外はあります。しかしめったに無いからこそ例外なのです。
この本は映画の脚本の事ですが、映画では無くても一般的な物語でもためになりそうなものがあるので、いくつか書こうと思います。
気になった所の概略なので、これでいいと思ったら買って読んでください(別に私には得はありませんけどね)。
27ページ、皮肉はあるのか?
簡単に言うと「何々だが、何々だ」または「何々なのに、何々だ」と言う事ですね。
まどマギだと「皆のためになる魔法少女になる筈だったのに、騙されていて皆を殺す魔女にいずれなる話」と言う所です。
サイコパスだと「秩序の為のシステムの元、正義の警官になったのに、システムがおかしく正義が全うできない」ですね。
これで一工夫が出来、物語に深みが出ますね。
後でまた出てきますが、葛藤が大事です。
逆にこれが無いと面白さが半減します。
34ページ、テストマーケティング
いかにもアメリカ人ですが、町に出てカフェとかそこらにいる人に、物語のあらましを言ってみるそうです。それで反応を見る。
日本なのでそこまでしなくても良いけど、関係ない人でも誰でもいいので、何人かに感想を聞くのは良い事では無いでしょうか? やってるのでしょうか? 当たり前だけど良い事ですよね。
53ページ、この著者が考えた10のジャンル
これは物語を作る時に役立つ事だが、それとは別にそのジャンルの面白要素が少し書いてあります。なのでもう出来てる物にも使えそうです。ジャンル別の肝心な面白要素を外すなと言う事です。
1、家の中のモンスター
「ジョーズ」とか「エイリアン」とか。
大事なのは家の中である事。つまりどこか逃げれない枠の中で追われると言う事。枠が無いと面白さが半減する。どこまでも逃げていけそうだと怖さがなくなりますからね。
2、金の羊毛
何かを求めて旅に出るストーリー。
大事なのは、主人公が旅の途中で人々と出会い、色んな経験から成長する事。その変化する事が一番大事だし、皆が見たがってるものである。
3、魔法のランプ
理由は何でもいいので魔法とか大金とかを手に入れる話。こういう物は皆が普段願ってしまうものなので興味を引く。
それが魔法を得るに値する好人物なら客は納得する。シンデレラですね。
逆に魔法を得るが呪いもかかると言う物語もある。こういう物語は「魔法何て都合のいいものが無くても幸せに生きられる」等の答えになる。
4、難題に直面した平凡な奴
どこにでも居そうな人が大変な目に合う。
客が自分と同じだと思うような普通の人が難題に直面し、勇気を振り絞り解決する。それにより客は好感が持てるし、自分も勇気をもらえる。
とにかく大きな問題と、とても悪い奴が必要だそうだ。それだからこそ感動する。
5、人生の説目
大体は、普通の人生にあるどうする事も出来ないつらい経験の話。
人生とはそういう物と受け入れ、最後は笑える事で解決される。
これは私の意見だが「リトルミスサンシャイン」等は登場人物は解決されない。だからすっきりはしない。しかしあれは見てる人が主人公なのでしょう。見てる人が「でも皆が(ここでは家族が)いるからこれでも良い人生じゃないか」と思えるようになる話です。
6、バディとの友情
「リーサルウェポン」はまさにそうだが「ファインディングニモ」もここだそうです。
「ぼくと親友のストーリー」は誰にでも共感できるから、うけるのだそうです。
バディとは言っても、ラブストーリーもここに含まれるそうです。
価値観が違ったり嫌い合ってるが、段々認めてくる。しかしついにはケンカして分かれる。しかしあいつがいないとダメだと分かり、最後覚悟を決め仲直りをする話だそうです。
確かに良くある話だけど、こういう話はいつも盛り上がりますよね。
7、なぜやったのか?
この話は主人公の変化を描くものでは無く、邪悪な事をした人がそれをなぜやったのか? を描く物語だそうです。
犯罪などの裏でなぜそんな事が起こったのか? を描く物語ですね。人は「なぜ?」が分からないと気になるものですからね。だから「なぜそんな事を?」と思わず言ってしまう様な出来事は物語になるのでしょう。
8、バカの勝利
「フォレストガンプ」ですね。バカに見える人が体制とか組織に勝利する。
社会のアウトサイダーが勝利すると、なぜか客は自分が勝利したかのような快感を得るそうです。
「バカでも勝てるのだから」と希望を持つものなのでしょう。
9、組織のなかで
(この本で書いてある事から私の解釈です)
皆何かしら組織の中で生きている。そして組織と言うものが良い面と、問題点があるのを分かっている。だから自分事として見れるのでしょう。
良い面では、その組織で頑張って皆で何かを成し遂げると言う話になるのでしょう。スポコンもここでしょうかね?
悪い面で良くある物語は、何もできない新人がきて段々慣れて来るが、組織の問題点に気が付きそれを変えていこうとする話ですね。
もしくは「組織と言うものは何なのか?」を考えさせる話で終わりますね。
10、スーパーヒーロー
「スーパーマン」みたいなヒーロー物だけではなく、人より優れた才能がある人の物語はここだそうです。
超人的な力に想像力を掻き立てられる物語です。
そしてすごいがゆえの誤解や迫害などの苦しみに共感する物語になるそうです。「あんなすごい奴だって俺らと同じように苦しみがあるんだ」と共感するのでしょう。だからスーパーヒーローは苦しむべきですね。
ジャンルがあり、それらの面白い基本がある。
それらを理解しておくべきだと言う事ですね。
そして基本から外れ常識を破りたい人であっても、まずは基本を知って無いとダメだろ、と言う事でした。知らない物は意識して破れないですからね。
84ページ、主人公は誰か
この著者はストーリがあり、その後主人公があるべきだと思ってるようです。
つまり主人公から決めてはダメだと言う事です。
この著者も「異論があるだろうが」と言っていますが、確かに違う時もあるでしょう。
でも大体はストーリーから考えるべきですね。ストーリーが二の次になると駄作になりがちです。主人公から決めると、ただのアイドルを見るプロモーションになりがちですよね。
90ページ、原始的な動機があるか?
ここは大事だと言っています。それは人は本能的で原始的なものに心を動かせられるからです。
例えば、生き延びる事、飢えに勝つ事、セックスする事、愛するものを守る事、死の恐怖に勝つ事等だそうです。
確かにこれらの要素が無いとキャラの存在がはっきりしないです。それに原始的な動機以外で行動しても共感出来なそうですね。
これも絶対ではないだろうけど、これらが無いキャラには一度考えてみる価値はあると思います。物語上おかしくなくこれらの動機が付けば、確かにプラスになると思います。
102ページ、ストーリーの主人公はどういう者かのまとめ
- 共感できる人物
- 学ぶことのある人物
- 応援したくなる人物
- 最後に勝つ価値のある人物
- 原始的でシンプルな動機があり、その動機に納得がいく人物
だそうです。
これらがどの物語でも通用するわけでは無いけど、魅力的な主人公ならこの通りでしょう。
それに大体は魅力的な主人公なわけです。
だからこれも一度自分の主人公にあるか考えてみる価値はあると思います。
111ページ、著者は自分用に構成用テンプレートを作ったそうです。
ブレイク・スナイダー・ビート・シート だそうです。
ここも映画作りでなくても参考になる事が書いてあります。
どの割合でどういう事が起きるべきかが書いてあります。
例えば総ページ110ページだとしたら、75ページに「全てを失って」がくると言う感じです。この辺で一度すべてを失いどん底に行き、その後ラストの盛り上がりで逆転すると言う感じです。なるほど。確かにここですべて失う方がラスト盛り上がりますよね。
そんなためになる事が書いてあるので、気になる方は読んでください(解説書ではないのと長くなるので書きません。それにこれは書く人用であり、見る人が気にするには細かすぎだと思うので)。
159ページ、主人公の感情はどのシーンでもプラスかマイナスに行くべきだ、とあります。
それに各シーンで何かしら葛藤が必ず必要だと言う事です。誰がどんな問題を抱え、誰とぶつかり、最後どっちが勝つのか? を1シーンに必ず1つ入れろと言うのです。
感情のプラスかマイナスが無いシーンは、変化がないシーンなので捨ててしまえと言うのです。
そして葛藤が無いシーンも捨ててしまえと言います。実はこれは私には分からない事です。でもいらないシーンとして捨てるか考えるべきだ、と言うのなら、そうかもしれないなあ、位は思います。
私見ですが、昔のアニメを見ると無駄なシーンが多い。昔はテレビで見て、つまらなければただテレビを付けながら他の事をしていて、面白そうなシーンだとまた見る、そんな人が多かった気がします。しかし今は違います。見ようと思う強い意志があり見てるのです。嫌ならすぐ止めて他のものを見ます。現在は、今やろう今見ようと思った時出来る時代です。ゲームもネットも今出来る。だからいらないシーンがあると飽きて他の物を見てしまうのです。だからいらないシーンが昔みたくあってはダメな時代だと思います。よそ見をさせたら、もういないのです。
長くなったのでここでいったん切ります。
後半は黄金の法則の「Save the cat」の法則から書きます。
ここからは分かりやすく皆がよく気にする、物語の面白さの法則の話です。