号漫浪正大

輪るピングドラム ~物語を見直す

BOY MEETS BOY

アニメ 「魔法少女まどか☆マギカ」 の考察です。二回目です。ネタバレです。

映画版はまだ見てません。現在どこのネット配信でも出てませんね。社会の歯車にされた魔女の呪いですかね? 早くまどかに消し去ってもらいたいですね。

 

「奥様の名前はトモヒサ、そして、旦那様の名前はジュンコ。ごく普通の二人はごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。でもただ一つ違っていたのはお子様は男の娘だったのです」

 

テレビ版を見ている途中に思ったのは「男の中の妄想の女の子だな」と言う事です。

でもよくある事ですね。大体男が描く女はおかしいものですね。女心が分かっていない男が書くのだから大なり小なり不自然なものです。

ちなもに少女漫画の男も不気味ですね。マネキンのようです。なので女性から見た男性作家の女性もマネキンに見えるのでしょうね。

しかし見終わってみると「それどころでは無いな」と思えてきました。男が描く男の心にある妄想の女の子ではなく、男そのものの心を持つ少女だと思えてきました。

それこそまだ純粋で真っ直ぐで、声変わりする前の中学生の男の子の心を持つ少女達でしたね。

ただこの辺の事はネットで検索すると、分かっている人が何人かすぐ見つかりました。他人と同じ事を書いてもしょうがないのですが、その向こうに少し言いたい事が見付かったので書こうと思います。

 

 まどか

まどかはずっといじいじしてたのに、最後唐突に「全ての魔女を生まれる前に消し去りたい」と言い出します。

「おいおい、まてよ、どうした急に?」と言われそうですが、男ならありそうですね。

分かりやすい例でいうと、犯罪で捕まった人がいて、その知人にその人の事を聞いたりします。すると「目立たない奴でおとなしい奴だった。まさかそんな事をする奴には見えなかった」と言う返事が返ってくるのを何度テレビで見た事でしょう。

男でうじうじしてる人は自分の中で物語が進んでいくものなのです。誰かと話せばそこでバランスが取れおかしくない方に修正されるのですが、誰にも話さないと自分の思った間違った方向にどこまでも進んでいき、大きくなっていく、それが男ですね。

だから急に突拍子もない事を言ったり、したりする、おとなしい男が結構いるのです。

それがまどかですね。

それに、知りもしない全ての人を守るのに、身を犠牲にするのも男っぽいと思います。

 

ほむら

友達の為に身を挺して何度でも同じ時間を繰り返す。自分の人生を同性の友達の為にかける。まさに男ですね。

そして最後、消えていった友の為「あいつが守りたかったこの世界を、俺は守り、戦っていく」と言う行動は男以外何者でも無いですね。

 

マミ

実はマミだけは今一男っぽくはないですね。でも女っぽくもないですけどね。

後輩に自分の行動を見せてから自分で魔法少女になるか決めさせる所なんかは、前もって言い訳を作っておく事なので、論理的で男っぽくはあります。

「彼に夢をかなえて欲しいの? それとも彼の夢をかなえた恩人になりたいの?」と理屈っぽく言う所も男っぽく感じます。

しかし少し薄いですね。でも、そもそもそんなに男女差が出る行動を、物語的にしてないだけでしょう。

 

杏子

この子は男キャラ全開ですね。

さやかと戦い友情を(一歩通行だけど)抱くあたりは、昔からの男の物語の王道ですね。

その後さやかを救おうとして、失敗し、一緒に死んでやろうとするなんて、男じゃなくてなんなんでしょう。

 

さやか

勝手に好きになり、勝手に献身し、勝手に自分は相手の恋人には適さないと立ち去る。その時、あいつにはあの子がお似合いだとあきらめる。見えない所で勝手に頑張るのが男っぽいと思います。女の人はもっと見える所で頑張りませんか? 今は見えなくてもいつか見てくれる所で頑張るでしょ? ずっと見えないままの所で頑張るのが男っぽい。

それに他人の為、知らない人たちの為、社会の為に、これも見えない所で勝手に頑張るのも男っぽいですね。

そもそもこの子は人魚姫ですね。魔女の時に分かりやすく人魚になってますものね。

アンデルセンの物語「人魚姫」の人魚の役をこのアニメでやっているのですね。

そしてアンデルセンは男です。そしてもてない男です。つまり献身的な人魚はアンデルセンの分身です。そして理想の女性でもあります。理想の女性と自分自身、その価値観があっていてほしいと言う所にもつながります。自分の考えが通じる女性が理想と、男は思うのです。そして理想の女性などいないと言うのも含まれる。人間にはいないので人魚として出てくるのでしょう。

つまり人形姫の人魚は女ではなく、男の妄想上の生き物です。それにそった動きをするさやかも、男の理想の中の男の価値観で動く生き物だと言う事です。

昔から男が描く物語は多かった。そしてずっと妄想上の女を描いてきたのです。そしてそれを見た男が女とはそんなものだと勘違いをする。そしてまたその勘違いを物語にして描いていき、世代を超えてこじらせてきたのです。特に物語ばかり見ていたもてない男は時代を超え世界をまたぎ、こじらせ続けてきたのです。そしていつか黒くなり魔女みたいなものになって行った事でしょう。ヘルプミーまどかです。

 

と言う訳で男の娘の物語なのだが(精神的にね)問題は早くも第一話です。

 第一話でまどかの父母が出てきます。そして父が家事をしています。皆もこの家庭は逆なんだな、と思った事でしょう。そうですこれはヒント……どころでは無く答えです。つまりこの話は男女が逆転してるのだと言っているのです。つまり「確信犯」なのです

 

まず残りの主要登場人物の説明から。

まどかの母

分かりやすく、働いている事もそうですし、いつも子の相談に乗る所も今までの物語では父がしていた事です。

暗いバーで友達とカウンターで飲んでいます。これも昔からよくある物語で男どもがやっていた事です。つまりわざとです。

 

まどかの父

ぞんざいなあつかいです。でも男の物語に出てくる母が何をするでしょうか? よくあるのが「ご飯を作る」位です。つまりこれが男の話に出てくる母だと考えれば、同じ扱いなのです。

 

仁美(さやかの友達)

恭介に告白する前に「一日待つ」なんてさやかに言う。これも男ですね。

 

恭介

これも女だと思ったらどういうキャラだったと思いますか? 

多分、色白、黒髪、ロン毛、白いドレスかワンピースを着てピアノを弾いているお金持ちのお嬢さんです。

昔ながらの男の物語だと、こういうお嬢さんに男は恋をします。そして勝手に思い、勝手につくし、勝手に振られます。そして最後にボロボロになった自分にお嬢さんが声を掛けます「あれ? もしかしたらあの時の……」でも男は「勘違いです」とでも言って去っていくのです。そして男友達と土手で「ちくしょう。幸せになれよう!」と叫んで終わりです。

このお嬢さんの扱いはいつも内面なんか描きません。良い悪いも描きません。ただの男の勝手な妄想の相手で、実はほったらかしで相手にされません。アプローチもしない男が勝手に思い、その後勝手に去っていって気付く事もありません。

その通りに恭介は描かれていますよね? ステレオタイプなのです。

しかし面白いのはこの白いワンピのお嬢さんは男になぜか嫌われませんが、同じ事をしている恭介は男どもに嫌われていますね。それが男ですね。

 

その他の顔のない名前も無い人は関係ないと思います。杏子の父とか電車の中にいた悪い男達とかはそのまま男でしょう。

 

題名について。 

魔法少女まどかマギカ」の題名と共にアルファベット表記も一緒に書いてありますよね。

「PUELLA MAGI MADOKA MAGICA」ですね。

ラテン語で「Magica」は「魔法の」の意味だそうです。しかしラテン語は「魔法の」は男性女性、単数複数で単語が変わるそうですね。英語でもHe She They と変わるのが、ラテン語だと他の単語でも(全てのかも?)変わると言う事ですね。それで「Magica」は単数で女性なので、まどかと意味が合い「MADOKA MAGICA」は「魔法のまどか」もしくは「魔女まどか」になるのでしょうが「魔女」はこの物語では違う意味で使われているので「魔法少女まどか」もしくは「魔法使いまどか」の方が伝わる意味としてはあっていそうです。

「Puella」は単数、女性で「少女」だそうです。

そして問題の「Magi」です。これも色んな意味が(使われ方が)あるようなのでよく分かりませんが、普通に考えれば「魔法の」もしくは「魔法使い」の複数、男性なのだそうです。

複数男性の「Magi」と単数女性の「Puella」は普通合わないので間違った使い方だそうです。

しかしここまで読んできた方なら分かると思いますが、わざとだと思いませんか?

つまり文法では間違ってるかもしれませんが、「PUELLA MAGI」の言いたい意味は「複数の男性の魔法で作られた少女」もしくは「複数の男性の要素が入った魔法少女」では無いでしょうか?

 

日本語表記の「魔法少女まどかマギカ」もおかしいですよね?

まどかマギカ」が「魔法のまどか」や「魔法使いまどか」だとしたら「魔法少女魔法のまどか」になり、魔法が重複しています。

つまり「魔法少女」に違う意味が含まれてはいないのか?

「魔法兵器」だと「魔法を打てる兵器」とも「魔法で出来ている兵器」とも取れます。「魔法少女」が「魔法を使える少女」ではなく「魔法で出来た少女」でもいいのです。

つまり「作者の魔法で出来た少女」や「何か魔法的なもので作られた少女」でもいいのです。「男だったのが魔法で少女になった魔法のまどか」ではないのでしょうか?

 

つまりアルファベット表記にも日本語表記にも、まどか達は男要素で出来ていると暗示していると思います。

 

魔法少女まどかマギカ」は初めから狙って作った、男の娘の物語です。男の中の男の物語なのです。

(余談ですがヤングサンデーでしみちゃんと言う人が、まどかが魔法少女になる時頭の中で、猪木ボンバイエが流れていたと言ってみんなを笑わせていました。私もとても笑いましたが、実はそれであっていたのです)

だからこそ男達に人気があるアニメだったのでしょう。自分の心が分かる女が男の理想ですからね。そして女性には人気が無いのも分かるわけです。

 

作者は私たちに細かな説明もなく、理由が分かればとても怖い魔法をかけてきましたね。

この事を作者に問い詰めたらなんて言うのでしょうか?

「認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か人間は、他者を憎悪するんだよね」って言うのでしょうね。

おあとがよろしいようで。